第24回日本発汗学会総会  
 


ご挨拶
  大阪大学大学院情報統合医学皮膚科学 教授
片山一朗
   第24回日本発汗学会総会を2016年8月27日(土)〜28日(日)の2日間、大阪大学銀杏会館にて開催いたします。本学会を担当させていただきますことを大変光栄に思います。基礎・臨床・企業研究者が集い、汗に関する最新の研究成果や症例報告を発表し、活発な討論が飛び交うユニークな学会の伝統の継承とさらなる発展をめざし、教室員一同鋭意準備を進めてまいりました。
 汗の研究は日本の発汗研究の創始者である名古屋大学の久野寧先生とその門下生の方々、皮膚科では横関博雄先生が留学されていたアイオワ大学の故佐藤賢三先生の単一汗腺の単離に基づく膨大な仕事を中心に発展してきました。私自身は30年程前からシェーグレン症候群、そしてアトピ-性皮膚炎での発汗異常に興味を持ち、研究を継続してきました。特に長崎大学に教授として赴任したおり、当時熱帯学研究所の所長をされていた久野先生門下の小坂光男先生からは恒温室の使用とQSART法を教えて頂き、初めてアトピー性皮膚炎の発汗異常を定量的に解析することができ、論文として報告させて頂きました。この研究は大阪大学に異動後も継続し、本大会の事務局長である室田浩之准教授を中心に大きく発展してきました。日本発汗学会は会員が180名くらいの比較的小規模な学会ですが、最初に述べさせていただいたように、その分、基礎、臨床のエキスパートの先生が参加される非常に密度の濃い学会です。ただここ数年、臨床、基礎また研究分野を問わず若手の研究者の減少や海外留学を希望する方の数が下降線を辿っておりますが、汗腺の幹細胞研究や再生医学での皮膚再生、2光子顕微鏡による、新しい発汗機能の解析研究も大きく発展しており、若い先生方の参入がおおいに期待される分野になりつつあるかと思います。実際、先日開催された日本皮膚科学会での発汗のセッションでは立ち見が出る程の盛況でした。特別講演としては関口清俊先生(大阪大学蛋白質研究所)には「幹細胞ニッチと汗腺幹細胞(仮)」を、東北大学名誉教授の田上八朗先生には「皮膚角層バリア」に関する講演をお願いしております。シンポジウムは岩瀬敏先生、河合康明先生にご尽力頂き、「宇宙と汗」という大変魅力的な企画を案内することが可能になりました。臨床分野での発汗異常の新しい治療に関するワークショップや近藤徳彦先生(神戸大学発達科学)によるヒトの体温調節機構(仮)」、市民公開講座などの興味深い講演もお楽しみ頂けるかと思います。基礎系の研究者や臨床系の大学院生、学生、若手研究者も参加しやすい設定、プログラム構成を考えております。詳細は学会ホームページを参照下さい。
残暑厳しい時期ではありますが多くの先生方の御來阪をお願いする次第です。
 最後になりますが、学会会場の大阪大学は千里丘陵に有り、近くには国立民族博物館や万博記念館などがあり。学会の合間に散策していただければと思います。会員の皆様方の多数のご参加とご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げますとともに、浪花の文化や食を心から楽しんで頂ければと願う次第です。
  平成28年6月吉日