PCclub
JDERM-PC ( Japanese dermatological society for medical computing).
第97回日本皮膚科学会総会(大阪:大阪大)コンピュータ利用研究会
第3日目(5月31日,日曜日)2階 楓の間(F会場)
16:00〜17:00

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オーガナイザー 橋本 公二,上出 良一

演題番号1

皮疹拡大のシュミレ−ション

八木英一(秋田赤十字病院 皮膚科)

 コンピュ−タ−メモリ上の配列に個々の細胞を割り当て一種のセル・オ−トマトンとして増殖させた。仮想基底層の増殖する方向の選択確率は皮疹画面から得られる小範囲のフラクタル次元や組織の細胞間隔を利用した。悪性疾患から得られるフラクタル次元を使用すると辺縁の増殖域が不整となった。仮想有棘層内での細胞分裂の確率を増やすと辺縁や画面のフラクタル次元の分布が不整となった。

 

演題番号2

画像処理はどこまで許されるか?

二瓶義道(福島医大)

 近年のパーソナルコンピューターの発展は目覚ましいものがあり、従来は困難であった臨床写真や病理組織などの画像処理が比較的容易にコンピューター上で処理することが可能となってきている。コンピューターで処理可能な画像処理はきわめて多岐に及ぶが、それを学会発表や論文投稿に用いる場合にはあまり適当ではない画像処理も存在する。しかし、オリジナリティをあまりに重視するためにすべての画像処理を禁止してしまうことは、画像を重視する皮膚科学の発展には妨げとなる可能性がある。学会や論文で使用する画像処理として、どのようなものが容認され、どのようなものが禁止されるべきであるのかについて、実例を供覧しながら会員のコンセンサスを得てみたいと考える。

ホームページ:http://www.fmu.ac.jp/home/dermatol/Derma-index.html

 

演題番号3

山梨県皮膚科医会における簡単安価なスライド集の試み

松田和子、大竹直人(山梨県立中央病院)、若松勝雄(市立甲府病院)

 近年コンピューター機器の進歩は素晴らしいものがあり、数年前までは高値の花であったCD-Rwriterも大変安くなり利用し易いものとなった。このCD-Rには一枚650Mと大容量の記録が可能であり、メディアが安いことに加えて、ほとんどのパソコンに現在CD-ROMドライブが標準装備になっているため、新しい機器を購入することなくそのまま読むことができるなどの大きな利点がある。今回、このCD-Rのメリットを生かして、山梨県皮膚科医会で行っている症例検討会のスライド集を試作したので報告する。スライド集作成にあたっては 作成する手間が簡単なことと会員の負担にならないことに重点をおいた。実際には以下の手順で行った。尚、作成機器はMacintoshを使用した。

1. 症例検討会終了後、そのままスライドを預かり番号順にPhotoCDを作成し、マスター(事務局保存用)とする。

2. PhotoCDの5種類の画像データのうちディスプレイ画面で見やすい768×512のサイズを選び出す。

3. 選んだ画像を汎用性の高いJPGのタイプに変換する。

 (MAC版のみで良い場合はこの作業は不要。)

4. 画像をみるためのソフト(無料のフリーウェア:PixelCat -MAC用、Susie-WINDOWS用)、readme、症例検討会のプログラムなどを用意する。

5. CD-Rを焼いてCD-ROM(医会の会員配布用)を作成する。これはMACとWINDOWSの両方で読めるHybrid版とする。

 本作業により症例検討会で使用された200枚以上のスライドは1枚のCD-ROMに収まった。1枚ずつの閲覧のほか、カタログとして、あるいはスライドショーとしてみることができ、貴重な症例を原本のスライドを損なうことなく、簡単に再検討できるようになった。

 

演題番号4

最新(&安価)カラーインクジェットプリンタ出力は皮膚科ポスター展示用写真出力に使えるか

沼原利彦,沼原紀予(香川医大 皮膚科学)

 ここ数年のパソコンの凄まじい高性能化・低価格化により,数十MBのファイルサイズを持つような精彩カラー写真の画像処理までも,卓上のパソコンで手軽に行えるようになっている.演者は,パソコンによる画像処理技術の臨床・研究・教育面での活用について,ここ5年間様々な場面で報告してきた(1997年日皮会誌107巻13号1808-1810頁参照).この間,不満であったのが,作成した高精彩デジタルカラー画像の紙上への出力であった.臨床画像や組織画像を出力するには,安価なカラーインクジェットプリンタでは解像度も色の精彩さも写真レベルには遠く,銀塩写真なみの出力を得るには百万円以上はする昇華型プリンタや写真焼きつけ型の出力機に頼ることになり個人や一教室での設置は難しく,結局はフィルムレコーダーでフィルムに撮影しての現像プリントを依頼するのが現状であった.しかし,最近,カラーインクジェットプリンタ技術も躍進している.1997年初夏,この分野では最先端の技術を持つEPSON製のPM-700C(標準価格59800円,6色インク採用,解像度720dpi×720dpi,A4サイズまで対応:現在は1440dpi×720dpiの後継機PM-750Cが同額で既売)を個人的に導入した.専用の光沢紙を使用すると印刷結果は銀塩写真と見まがう品位があり,現在までに数百枚出力した結果では,インクと専用紙を含めた出力コストもハガキサイズで1枚30円程度,A4サイズで100円程度であった.教室としても1998年始めから,皮膚科外来に臨床写真・組織写真入出力用に,パソコン(Apple,PowerMacitosh8600/250),デジタルカメラ(Olympus, CAMEDIA C-1400L),スライドスキャナ(Nikon, LS-1000),カラーインクジェットプリンタPM-2000C(EPSON,標準価格99800円,6色インク採用,解像度1440dpi×720dpi,A3サイズまで対応)を新たに設置する.この使用経験も加え,最新(&安価)カラーインクジェットプリンタの出力結果が,皮膚科ポスター展示用の臨床写真や組織写真として使える品位にまで達しているかどうか皆様と検討したい.

※この演題は学術展示コーナーに掲示しています

 

演題番号5

インターネットによるインタラクティブな情報提供とその利用:アトピー性皮膚炎に関するホームページを例に

加藤晴久(星ヶ丘厚生年金病院皮膚科)

 患者の医療に対するニーズを知る手段は従来ひじょうに限られたものであった。また、時間的に余裕がない診察室でのコミュニケーションでは不十分であると誰もが感じているところであろう。ホームページなどから得られる情報にはバイアスがかかってはいるものの、インターネットという双方向の情報交換が比較的簡易にできる手段が一般化したおかげで、医療に対する患者のニーズや不満を知るチャンスが増えてきた。一般に学会でのコンピュー タやインターネットの利用に関する話題は医療機関・医師側からの視点であろう。しかし、これからは患者の視点を十分理解したうえで、患者にとって正しい情報、信頼できる情報を提供することは我々皮膚科医師にとってますます重要になるだろう。そのような観点から「皮膚科医師としてどのような視点で情報を提供していくか」について考えたい。その具体例としてアトピー性皮膚炎を取り上げたい。

公開アドレスhttp://www.hoshigaoka.com/dermatol/pc/

 

演題番号6

続、兵庫医大皮膚科患者データベース

伊藤 孝明(兵庫医大 皮膚科学教室)

 現在、当科に外来カルテがある患者さんの氏名、性別、生年月日等の約6.3万人分の患者基礎データベース(以下DBと略)と写真台帳DB(臨床写真は約5,000枚/年)、組織台帳DB(組織検査は約550件/年)が過去12年分、手術台帳DB(手術約450件/年)、入院台帳DB(約210件/年)が6年分ある。
 それぞれのDBは、スライド写真整理と症例検討会、組織標本整理と組織検討会、回診時患者一覧表、術前検討会に利用され、業務の大幅な軽減となっている。しかし実際に運用するには、DBとリンクさせてのスライドや組織標本、手術記録や入院抄録を整理する必要があり、こちらの方が大変である。現在でも超古典的なNECのMS-DOSのシステムでDB「桐」を用いている。現在WINDOWSかWINDOWS-NT上のソフトにデータをコンバートし、画像DBを含むシステムへの移行も検討しているが、なかなか道は険しそうである。