学会参加印象記

第8回加齢皮膚医学研究会、第60回日本皮膚科学会高知地方会 片山一朗教授

会長:佐野栄紀 高知大学皮膚科教授
会場:高知 総合安心センター、新阪急ホテル
会期:2012年7月6〜7日

佐野栄紀高知大皮膚科教授が会長を務められた上記2学会に参加した。高知地方会は前任の小玉肇先生が岡山大学出身であり、高知県の先生以外に益田俊樹先生など岡山から出席された先生もおられた。9題中3題が開業の先生からの発表であり、それぞれが素晴らしい内容で、活発な討論とともに盛会であった。高知県西部ではイノシシの生肉を食べることがあり、腫瘤形成を生じたマンソン孤虫症の症例報告は興味深く拝聴した。佐野先生からは高知県は東西に広く、すべての地域を常勤医でカバーすることは困難で、医局の先生がそれぞれ数時間かけて診療に行かれると聞いていたが、発表された幡多県民病院は2人体制(?)で頑張られているとのことで、貴重な症例を詳細に検討された努力に敬意を表したい。
 加齢皮膚医学研究会は神保孝一札幌医大名誉教授が組織された研究会でまだ衆知度が低く参加者もそれほど多くないと聞いていたが、今回6回目となるロート賞の受賞講演が五題あり、私には大変興味ある研究演題ばかりであった。大阪大の花房先生も今回「ケラチン5を一過性に発現し、加齢によって増加する新規Bリンパ球系細胞の機能解析」の研究で第6回ロート賞を受賞された。受賞講演は来年、もしくは都合のつく時必ず講演が義務づけられているとのことである。写真:神保先生と花房、杉田(産業医大)先生


 加齢皮膚医学研究会は基本的には光皮膚老化研究が中心となっているようであるが、今回私が「加齢とアレルギー」、また富山大学の清水忠道教授が「全身性接触皮膚炎症候群」というタイトルで講演を行い、加齢に伴う金属アレルギー、薬疹、老人性紅皮症などの問題点が討論された。私自身、高齢者の汎発性湿疹の病態や高齢者のアトピー性皮膚炎が存在するかに興味があり、貴重なコメントを頂いた。もう一つの目玉は東京医科歯科大学の西村栄美教授が「毛髪のエイジングと幹細胞制御」というタイトルの特別講演で、色素細胞の幹細胞の維持にケラチノサイト幹細胞のTGFβ刺激が重要であり、幹細胞がアポトーシス、ネクロシース以外に分化というプロセスでNitchから消失して行くプロセスを素晴らしい蛍光画像で示され、白髪のみでなく色素異常症や、皮膚の発ガンにも関与している可能性を述べられ、多くの質疑応答があった。


 懇親会後佐野先生のご好意で2次会場に席を移し、樽谷先生など同門の先生や花房先生、地元土佐高校出身の久米先生も交え、夜遅くまで臨床、研究、ワインの話で盛り上がった。
 2日目は最後のシメで御馳走になったシジミラーメンの御陰で非常に快調で、市橋先生の「皮膚科医が果たすアンチエージング医学・医療」の講演を拝聴した後、龍馬空港に向かった。加齢皮膚医学研究会は退官された先生方もたくさん出席されており、世代を超えた討論ができるユニークな研究会で、興味ある方はぜひ出席されればと思う。また佐野先生が高知大学に赴任され、早くも5年が経過するが、シャッター通りとは縁遠い、子供から元気な高齢者まで人波で溢れる夜の高知の街で「医大の先生」の名前で通用する程有名になっておられ、心強い限りであった。お世話になった高知大学皮膚科と同門の先生に改めてお礼を申し上げる。
 
2012年7月6〜7日 in 高知
平成24(2012)年7月10日掲載