学会参加印象記

第2回汗と皮膚の研究会
平成24年9月8日 東京
片山一朗
   
 この会は3年ほど前、杏林大学の塩原教授から講演会に呼んで頂き、アトピー性皮膚炎患者で発汗が低下しており、皮膚炎の改善でその機能が改善するというお話をさせて頂いたおり「汗の重要性を皮膚科の若い先生にももっと認識してもらう必要があるのでは?」とのご意見を頂いたことに始まる。まず東京医科歯科大の横関教授、広島大の秀教授など汗の研究をやっておられる先生方を中心にキックオフの研究会を試験的に開催した。幸いM社から賛同を頂き、とりあえず3回を目処に、昨年,今年と会を開催させて頂いた。塩原先生のお考えではこのような研究会で汗に関する臨床的な問題を討論して行く過程で、汗の重要性が他科の先生にも認識されていくのではないかとのことで、今年は昨年に比し、若い先生の参加が目立ち、討論も活発であった。特別講演は京都薬科大準教授の橋本貴美子先生に「動物の発汗に学ぶ汗の役割—乾燥・感染・紫外線に対する働き」というタイトルでお話し頂き、会員からの発表が9題あった。橋本先生はカバが赤い汗をかくことを詳細に研究さ、Natureに報告されたが、子供の頃のキャラメルのカバの似顔絵で赤い汗(赤いカバ)がかかれていることを不思議に思われ、大人になったらその謎を解明したいとのことで研究を開始されたそうである。今回のお話の中でカバの汗は皮膚の乾燥を防ぐとや抗菌作用を持つなど人の汗に近い機能を持つようで、赤い色がヒポスドール酸とノルヒポスドール酸の2種から成っている事など興味つきないお話を頂いた。
 会員発表では大きくコリン性蕁麻疹での金属の関与、アレルギー的な側面と発汗障害の機序、汗疱と掌蹠膿疱症での表皮内水疱のでき方の差異、抗菌ペプチドの分布の違い、人でのアクアポリン5の局在と機能などの発表があり、おおいに議論が盛り上がった.阪大からは松井先生がマウスでのアセチルコリン性の発汗をヒスタミンが抑制すること、抗ヒスタミン薬がその抑制を解除することで、アトピー性皮膚炎などの発汗低下を改善する可能性を発表された。塩原先生からはマウスではヒスタミンの機能は人とは異なるのではという質問があったが、獨協医大の片桐先生からマウスでもヒスタミンの外用や比内投与で掻破行動が見られることや室田先生から後天性無汗症患者で抗ヒスタミン薬の漸増が発汗を促すことなどをコメントされた。この会のような臨床の立場から、汗の問題を討論出来る場はなく、さらに汗の研究に興味を持つ方が増える事を願っている。

平成24(2012)年9月10日掲載