教室関係コラム

2013.09.17

第28回日本乾癬学会

第28回日本乾癬学会 9月6日~7日
東京ドームホテル
会長:中川秀己(慈恵医大皮膚科学講座教授)

大阪大学医学部皮膚科学教室
山岡俊文

9月6日から9月7日まで東京において開催された第28回日本乾癬学会に片山教授をはじめ谷先生、林先生の計4名で参加してきました。今年で乾癬に対して生物学的製剤が適応となり4回目の日本乾癬学会ということも相俟って、やはり生物学的製剤に関連した発表が目立ちました。現在我が国において、乾癬に対して3種類の生物学的製剤が市販されていますが、一次無効や二次無効のため同剤の増量や、他剤の追加、さらには他剤への変更を余儀なくされ、各施設方途をつくされていると痛感いたしました。実際私もその一人で、限られ種類の薬剤で患者さん個人に最適な治療法を模索する日々が続いています。また今後さらに、乾癬において関連が指摘されている各種サイトカイン阻害薬が治験、市販へと急展開し、会頭の中川秀己先生のお言葉をお借りしますと、これがまさしくおおきなうねりと敬服しました。さらにおおきなうねりは、関節症性乾癬についても生じており、PASE質問票を用いて評価するとの演題も拝聴しました。感度、特異度においてやや問題点もあり、新たなツールの必要性も痛感しました。
 今回当科からは、アンケートを用いた生物学的製剤による乾癬患者のQOL、WPAI-PSOの改善効果に対する検討について発表しました。患者さんにとって、現在の治療法から生物学的製剤もしくは非生物学的製剤に変更することで、PASI、DLQI、VASが改善することが明らかとなりました。つまり、漫然と同様の治療法を継続することは、患者さんのPASI、QOLを悪化させ満足度を下げるが、こまめに治療法を見直すこと自体が患者さん個人における主観的な治癒状態に導けると結論づけました。
 今後も限られた治療法と、限られた医療資源で最大限の効果を得るべく、定期的に治療法を見直し、各人における主観的な治癒状態を目指していきたいと思います。

平成25(2013)年9月17日掲載

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