医局員コラム

The Harmonising Outcome Measures for Eczema (HOME) IV meeting Quality Hotel in Malmö, Sweden, April 24th-25th 大阪大学大学院医学研究科
情報統合医学皮膚科学教室
大学院生 山賀 康右

4度目のHOME meetingがスウェーデンのマルメで開催され、私も参加させて頂きました。
アトピー性皮膚炎は、世界各国に多数の患者さんがおり、治療法もproactive療法や生物製剤の導入と、日々変化がみられます。新規の治療法の有効性を判断するためには、臨床試験が必要であり、複数の試験が行われます。そこで、統一した基準のもとで試験が行われることが非常に重要であります。
HOME meetingは、アトピー性皮膚炎患者の評価基準を統一することを目的としたカンファレンスです。今回は、同疾患の治療に直接たずさわる皮膚科医、小児科医のみならず、methodologist、研究者、患者さんなど多岐に渡る方々が世界各国から参加されました。

これまでのHOME meetingでは、Core Outcome Domainとして、
・clinical signs(他覚所見)
・symptoms(自覚症状)
・quality of life
・long-term control of flares
の4項目が既に選定されており、それぞれについて評価すべき項目、そして推奨する評価方法を決定する。2013年の3rd meetingでは、clinical signsについて、excoriations、erythema、oedema/papulation、lichenificationが特に重要であり、評価法としてはEASI(Eczema area and severity index)を推奨することが決定されました。

今回の4th meeting では、1日目にSymptom、2日目にQuality of lifeの2項目について議論、投票が行われました。まず全体でのPresentation、discussionの後に、6つのgroupにわかれてgroup discussionをし、各groupの意見、主張をまとめた上で、最終投票を行い、反対票が30%未満であれば可決されるという運びになります。

1日目のSymptom(自覚症状)では、特に皮疹そのものを含めるかどうかが争点となり、2時間以上に及ぶ激しいdiscussionが繰り広げられました。また、参加されていたすべての患者さんに自覚症状を伺ったところ、すべての患者さんが痒みを第一に挙げているのが印象的でした。結果としては、
・itch
・skin irritation
・sleep loss
・dryness
・redness
が評価すべきSymptomであり、評価法としてはPOEM(Patient Oriented Eczema Measure )を推奨することが決定されました。

2日目のquality of lifeでは、症状そのものを加えるかどうか、医療費を加えるかどうかが特に争点となりました。治験では医療費はかからないこと、そして国によって医療費は大きく異なることから、医療費は含めない運びとなりました。また、評価法としてDLQI(Dermatology Life Quality Index)を推奨するかどうかも争点となりました。
結果としては、大きく分けて
・physical well-being
・psychological well-being
・social well-being
が評価すべき項目であることが決定しました。

group discussionは10人程度に分かれて行われました。私のgroupは、ADの診断基準で大変著明なHanifin先生をはじめとして、ドイツのSchmitt先生、三重大学の水谷先生、イギリスの皮膚科医、スウェーデンやフランスの私同様のレジデント、デンマークの製薬会社の研究員、オランダの患者と、皮膚科医が多かったですが、様々なback groundからなる人々から構成されました。私のgroupでは患者さんの主張を重視して意見をまとめたため、発言の8割は患者さんによるものでありました。Schmitt先生の手際良くまとめておられた事も印象的でした。Group discussionを皮膚科医になって以降行ったのは初めてだったのですが、個々が意見を主張しやすく、discussionも発展しやすいと感じました。
今後他の場面でも、行っていけたらと思います。

今回のmeetingで、重要な事項が決定する場に立ち会い、参加できたこと、そしてHanifin先生やSchmitt先生、Williams先生、Takaoka先生、Flohr先生など世界各国の著明な先生方、他国のレジデントや研究者の方々と話す機会が持てたことは非常に有意義なものとなりました。次回は2年後にサンパウロで、Long-term controlに焦点を当てたmeetingが行われます。非常に有意義な時間となったので、また参加出来ればと思っております。

写真左:HOME meetingの様子。皆真剣です。
手前左にWollenberg先生、右に水谷先生がいらっしゃいます。

写真左:恐れながら、Hanifin先生と御写真を撮らせて頂きました。一生の宝物です。

Meetingの後、ポーランド ヴロツワフのJacek C. Szepietowski先生のもとを訪問させて頂きました。Jasek先生はItchとPsychodermatologyの大家であり、今秋奈良で開催するWorld Congress of Itchにも御参加くださいます。御忙しい中我々を空港まで迎えに来て下さったり、自宅にお招きくださったりと大変手厚くもてなして頂きました。そして、常にレディーファストを徹底されており、真のgentlemanであると実感しました。

Wroclaw medical universityの皮膚科は3フロアある建物を有し、70人にも及ぶ入院患者、多数の外来患者がおり、30人にも及ぶ皮膚科医が診療に携わっておりました。レジデントの若くて美人な女医さんが多かったです。同施設では小児病棟、真菌専用の検査室があることが印象的でした。また、同教室はKoebner先生、Gottron先生といった、医師なら誰でも知っている先生方、さらには土肥慶蔵先生が過去に在籍しておられたようです。その場で、当教室の室田先生が「Dermatology in Japan」と題した御講演をしてくださりました。日本人により発見された皮膚疾患の紹介、そして日本でのADの現状、ヒスタミンにより発汗が抑制されるという御自身の研究のお話と、幅広い範囲の内容をわずか30分足らずでお話されました。立派な御講演でJacek先生をはじめとした同教室の先生方に大変好評でした。

写真右:ヴロツワフ大学にて、御講演されている室田先生の御勇姿です。



平成27(2015)年5月2日掲載