医局員コラム

11th EADO Congress & 8th World Meeting of Interdisciplinary Melanoma/Skin Cancer Centers
会場:the Palais du Pharo, Marseille, France
会期:2015年10月28−31日
大阪大学医学部皮膚科学教室
講師 種村 篤

フランスのマルセイユで開催された第11回EADO (European Association of Dermato Oncology) congressに参加した。これまで南仏を含めたマルセイユに行った経験がなく、地中海に面したフランスでのアフリカの玄関口の都市であり、岩窟王で有名なイフ島があることぐらいの前情報で現地入りした。実はマルセイユはフランスで最も歴史が古く、大聖堂や城塞など歴史的建造物が今も残っていること、国立公園が都市の大部分を占めており自然豊かであること(海と山に囲まれた非常に美しい街でした)などを現地で教えてもらい、少しだけ南仏の歴史に触れた気がした。学会会場となったファロ宮殿は1852年にナポレオン3世が訪れた際、水際の居宅として建設を思い立ったとされ、マルセイユの港を一望出来る場所に立つ印象的な宮殿だった(URL: http://www.eado-melanomacenters-marseille2015.com/)。本学会での話題の中心は、やはりここ数年メラノーマ治療の目覚ましい進歩であり、数多くの一般演題およびシンポジウムで話されていた。国内でも2014年抗PD-1抗体が世界に先駆け国内で承認され、今年抗CTLA-4抗体が使用出来るようになった。概ね、日本と欧州各国の治療水準は近しくなってきたとうれしく思う一方で、圧倒的な症例数とフォローアップ期間の違いは感じられた。国立がんセンター中央病院皮膚腫瘍科の山崎直也先生が、オールジャパンで皮膚悪性腫瘍に取り組むと常々おっしゃっている意義を改めて認識した。発表の中で特に印象に残ったのが、T-VECというoncolytic HSVにGM-CSFを組み込んだ改変ウイルスのメラノーマ腫瘍内投与がつい先日米国FDAで承認になり(AMGEN社)、そのセッションとコマーシャルブースが盛況であったことである(JCO 2014)。当科を含む3施設で、進行期悪性黒色腫症例に対するセンダイウイルスベクターを用いた医師主導治験を行っており、腫瘍内にウイルス(様)調整治験薬を投与し局所+全身の抗腫瘍効果を期待する点で類似したメラノーマ対策が世界の舞台に出て来ていることに感銘を受けた。メラノーマ治療に第2・第3の選択肢が登場し、それらの最適な組み合わせ(カクテル治療)、症例の適格化、腫瘍反応性のダイナミックな評価など臨床的に多く解析されている。一方、特にT-VECの基礎的な抗腫瘍免疫活性メカニズムがまだ十分解明されておらず、少し物足りなさを感じた。臨床先行で多くの薬剤が開発・上市されているが、常にその基盤となる生体反応・免疫応答を深慮すると同時に新知見のアンテナを鋭くしておきたい。
平成27(2015)年11月22日掲載