教室関係コラム

2016.01.26

第39回皮膚脈管・膠原病研究会

2017年1月22日(金)~23日(土)
第39回皮膚脈管・膠原病研究会
会長:佐野栄紀教授
会場:高知市文化プラザかるぽーと

大阪大学医学部皮膚科学教室
山岡俊文

 高知で開催された第39回皮膚脈管・膠原病研究会に参加してきました。当日は年末までの暖冬とは打って変わって、最高気温が5℃程度ととても寒い一日でした。例年通り演題数も多く、スポンサーセミナーも充実しており屋外の大寒波も忘れ、室内は冬の嵐を吹き飛ばす程の南国高知の熱気に包まれていました。その熱気の力を借りて色々と学んできました。
 まず、昨年10月に抗MDA-5抗体のELISA kitが発売となりましたが、今年6月頃にはcommercialレベルで測定が可能になるようです。今回の発表で、抗体価と病勢がparallelに推移すること、血中ferritin値は病勢を必ずしも反映しないことも勉強しました。過去の報告では抗MDA-5抗体陽性の皮膚筋炎では血中ferritin値が重要視され、私自身も一つの検査所見のみに囚われていたことを痛感しました。やはり血液ガス所見や全身状態など、総合的に柔軟に判断できる臨床医でありたいと思いました。その他皮膚筋炎関連では、肝臓ガンを合併する症例が少ないことが話題に上がっていました。そう言われてみれば、経験したこともありません。
 全身エリテマトーデスに関しては、発売間もないヒドロキシクロロキン関連の話題も出ていました。深在性病変で瘢痕を残す可能性のある患者さんにどのタイミングで使用するのか、それとも最初からステロイド剤を使用するのかQOLの観点からも判断に困る場合も多いです。実際に2012年に全身性エリテマトーデスの分類基準が改訂され、皮膚科医の的確な判断がますます必要とされています。
 その他、アルコール性肝硬変が不明熱の原因となる場合もあるようです。嗜好歴も重要で、問診の重要性も再確認できました。
 最後に懇親会での話ですが、スムーズな学会発表より、どこで困って苦労したかがわかる学会発表の方がためになるとご意見を頂戴した。その瞬間我に帰り、今までの自分の発表が自己満足であったことを痛感しました。

平成28(2016)年1月26日掲載

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