医局員コラム

Vitiigo International Symposium
Rome November 30~December 3, 2016
Presidents: Mauro Picard
Alain Taieb
大阪大学医学部皮膚科学教室
種村 篤

2016年12月2-3日ローマで開催されたVitiligo International Symposium出席した(http://www.vis2016.org/)。この学会のPresidentはイタリアのPicardo先生とフランスのTaieb先生で、特にTaieb先生は国際的な白斑診療基準の作成を提言した先生であり、欧州を中心とした白斑診療・研究のOpinion leaderである。本学会(シンポジウムなので、討論会というべきか)開催のローマに向かう途中、思わぬアクシデントに見舞われた。ドイツミュンヘン経由でローマ入りを予定していたが、ちょうど渡欧した日が某航空会社のストライキと重なってしまい、初日はミュンヘンで1泊し翌朝ウィーン経由でローマ入りした。この時点で日本出発から24時間を経過しており、正直本当にホッとした。
さて、学会では尋常性白斑の臨床と研究の演題が上手く織り交ぜられており、臨床医としては全体的に理解しやすい内容であった。個人的に興味のあるメラノサイトを取り巻く自己免疫応答では、CXCL9/10-CXCR3 axisの演題が多くヒトでのバイオマーカーとしての有用性や創薬の可能性にまで触れられており、臨床の現場まで急接近した印象を受けた。また、悪性黒色腫に抗PD-1抗体を投与した時生じるVitiligo様脱色素斑に関して、フランスのグループが“尋常性白斑とは異なる表現型であり、よりTh1型に近い免疫学的背景を持つ”ことを示唆されていた。当科でも抗PD-1抗体投与中の患者さんに脱色素斑を生じる事を経験しており、その病態解明が尋常性白斑の本質を探る上でヒントになるのではと考える。本討論会ではいくつかのキーワードがあった。上記ケモカイン間橋の他E-カドヘリン・HSP70・CD91・MIA・NRF2などが頭に残った。一方外科治療ではトリプシン処理した単細胞移植が非常に簡便で、(実施容認された一部の国だが)世界のトレンドになりつつあることを実感した。ただ、移植条件がまだまだ最適化されておらず、さらに臨床研究が進んでいくと考える。国内でもぜひ導入したいが細胞医療のハードルが高く今後の課題だろう。2日間と短い討論会であったが、日常診療に沿った内容が多く大変勉強になった。

平成28(2016)年12月8日掲載