医局員コラム

47th Annual ESDR Meeting 2017
European Society for Dermatological Research
Salzburg, Austria
27-30 September 2017
大阪大学医学部皮膚科学教室
神谷 智



先日、オーストリアのザルツブルクで開催されたESDRに参加してきました。私自身は今回始めて、“Exploring the niche of dermal neurofibroma in von Recklinghausen's disease: evidence for the involvement of polydom ”という、自分の研究テーマを発表する貴重な機会をいただきました(写真)。ポスター発表だけでも700以上ある大規模な学会で、講演を含めて見て回れたのは一部だけでしたが、印象に残ったものをいくつか報告します。
まず私の研究テーマでもある、neurofibromatosis type 1(以下、NF1)関連のポスターでいくつか。Dr. S Peltonenはポスター発表にて、NF1の患者における小児の悪性腫瘍のリスクを、1420名の患者でコホート研究された結果を発表されていた。確かに中枢神経系を中心に注意が必要という結果で、あらためてNF1の患者で画像検査をフォローすることの大切さを実感しました。
Dr. J Leppavitraは、NF1患者での先天奇形の頻度を、1410人の患者のretrospective
studyされた結果を報告されていました。心血管系、泌尿器系、筋骨格系、頭頸部といった区分に分けて検討されていて、日常の診療でもあらためて注意が必要だと感じました。
 北海道大学の乃村先生は、先天性魚鱗癬の中でもichthyosis with confetti type1(以下、IWC-Ⅰ)という病型の症例報告をされていました。この疾患は、17番染色体のKRT10遺伝子に片アレルに変異があるが、時間経過とともに組み換えが起こり、両アレルとも正常なアレルの細胞ができ、正常な皮膚領域を形成するという疾患ということです。もしほかの遺伝疾患でもこのような現象が起こるのであれば治療もしやすくなるだろうと思ったのですが、私が研究しているNF1では、年齢とともに皮膚型の腫瘍がむしろ増加する場合が多いですし、どうやらIWC-Ⅰ特有の現象のようです。以前、私は基礎の研究室で組み換えの実験をしていたこともあり、興味深く拝聴しました。学会期間中は天候にも恵まれ、充実した出張でした。

神谷 智
平成29(2017)年10月23日掲載