学会参加印象記
WCM参加報告
2013年7月16日―21日 in Hamburg
今年度はじめての国際学会参加録
大阪大学医学部皮膚科学教室
助教 種村 篤
 
学会懇親会場にて日本の皮膚科先生方と:田中先生(左端)、片山教授(同2人目)、私(同5人目)林先生(右端)

メラノーマの国際学会に出席しました

 猛暑ふるう大阪を離れ、片山教授・田中 文助教・林 美沙助教とともに、ドイツ ハンブルグで開催されたThe 8th World Congress of Melanoma and EADOに参加しました。フランクフルト経由で約1時間のフライトを要する北ドイツの大きな都市です。ハンブルグは緯度でほぼ樺太と同じであり、普段夏場でも最高20度前後と半袖では過ごせないようでしたが、滞在中ずっと天候に恵まれ参加者に晴れ男・晴れ女がいるもかもしれません。この参加レポは帰国の途に着く機内で書いているため、現在の日本の気候が??ですが、ハンブルグと異なりかなり暑く湿度の高い気候を覚悟しています。と言っても、日本食中心の生活に戻る事はやはり楽しみにしていますが。
 さて、このたび発表および出席しました学会はメラノーマ一色に扱う国際学会であり、主催国のドイツ・アメリカはもちろん、ヨーロッパ各国・オーストラリア・ニュージーランドを中心にやはりメラノーマ(紫外線の影響を受けやすい)が多く発生する国々から参加します。アジア地域からの出席はかなり少ない印象を受けました。ほとんどの演題がメラノーマに特化した学会ですので、メラノーマに関する(臨床中心の)世界のtrendが一気に勉強できる学会で、私にとっては本当に収穫の多い学会でした。
 ただ、日本からの参加先生方は限られており、ややaway感を覚えましたが、会場で存じ上げた先生とお会いすると少しホッとしました。今後皮膚悪性腫瘍を専門にされている先生方に加え、多くの国内皮膚科先生方とともに国際会場で議論出来ればと感じました。この度の学会内容で印象に残った事柄といえば、やはりこの数年のメラノーマ治療で一気に存在感を増している分子標的剤(BRAF阻害剤やその下流シグナルのMEK阻害剤など)と免疫調整剤(抗PD-1抗体や抗CTLA-4抗体)の二つの飛躍的普及が挙げられると思います。どうやらMEK阻害剤はBRAF阻害剤との併用が効果的であり、これからそのメカニズム解明が進んでいくようです。BRAF阻害剤や抗CTLA-4抗体の一部はすでに米国ではFDAで承認されており、1st line⇒2nd line⇒combination⇒さらにAdaptive Cell Transfer(ACT)を一部の施設で行うなど、今後治療のアルゴリズム確立に向けたエビデンスとなる臨床治験のデータが各国・各施設より発表され、正直驚きの連続でした。さらに、各施設の治験症例数が初期第2相で200症例近く、第3相になると比較試験の一方の群だけでも1,000症例以上という試験が目白押し状態でした。各試験の結果の詳細は割愛しますが、十分期待される効果が得られていることをうれしく思うと同時に、やはり日本とのドラッグラグ(他悪性腫瘍でも大きな問題なっていると思いますが)の解消が急がれることを痛感しました。国内では知り得ない世界のトレンド・急速に進む治療の動向に対して、常にアンテナを張って少しでも明日からの臨床に還元出来ると素晴らしいです。抗腫瘍免疫に関しては、ペプチド免疫の限界とACTの改良プロトコール作成、前記2種の治療薬との併用戦略に伴う免疫活性作用の発表が個人的に印象的でした。来年は旧ソ連の一つであるリトアニアでの開催のようで、ぜひ自分にとって毎年恒例?の夏のビッグイベントに出来ればと考えます。
 私は、当科で進めていたメラノーマ患者さんに対する臨床研究の内容を報告し、田中先生は日本人メラノーマにおけるがん精巣抗原の詳細な発現解析結果を、林先生はメラノーマと鑑別が困難であったPigmented Epithelioid Melanocytomaの稀な一例を報告しました。少なからず海外の先生方にimpressiveな発表であったことを期待しています。
なお、ドイツと言えば、ビール・ソーセージ・ジャーマンポテト…がすぐに頭に浮かぶでしょう。もちろん、これらの食事+アルファを皆で楽しんだことは言うまでもありません。ハンブルグという名前の通りハンバーガー発祥の地であり、ドイツ第2の都市に滞在しながら、帰りのフライト直前にやっと辿り着けたマクドナルドのハンバーガーが最初で最後でした。パテはジューシーでパンは香ばしく美味で、やはりドイツのハンバーガー恐るべし。。
 最後に、この学会を通して色々お世話になった先生方、改めて感謝申し上げます。

(左)発表ポスター前 (右上)自身のポスター前でプレゼン (右下)LUBECK大学に留学されている先生方と

平成25(2013)年7月25日掲載