医局員コラム

76TH ANNUAL MEETING PORTLAND OREGON
APRIL 26-29, 2017
OREGON CONVENTION CENTER
大阪大学医学部皮膚科学教室
神谷 智

先日、アメリカのオレゴン州ポートランドで開催されたSIDに参加してきました。
 印象に残ったものをいくつか。1日目のState of the Art Plenary Lectureで、Lu Le先生の講演は毛髪の色素に関するものでしたが、neurofibromaの形成にかかわる因子についての解説もされました。von Recklinghausen’ diseaseのneurofibromaは私の研究テーマであり、大変興味深く聞くことができました。
 2日目の午前のClinical Scholars Program Sessionで、Anthony Oro先生の講演では、水疱症患者の細胞にhomologous recombinationの起こったものを治療に活かすような話でした。かつて私は基礎の教室でCRISPR Cas9 systemを用いてhomologous recombinationを効率的に起こせたら、と考え実験していましたが、今後このようなアプローチも重要になるのだと改めて実感しました。続くKeith Choate先生は稀な皮膚疾患の遺伝子解析の話をされました。次世代シークエンス技術などにより皮膚科分野での遺伝子解析も飛躍的に進んでいるようで、興味深く拝聴しました。
 2日目の午後にはJAK inhibitorのSymposiumがあり、出席しました。白斑、アトピー性皮膚炎などで研究がなされているということでした。特に脱毛症の患者の治療で効果を挙げつつあるというのは印象的で、この分野も興味深いと感じました。
 最終日のClinical Scholars Program Sessionでは、Paul Nghiem先生の講演の中に、抗PD1抗体を用いてSCCやBCCを治療したという話がありました。私は抗PD1抗体をいえばmalignant melanomaのイメージしかなかったのですが、皮膚科領域でもほかの腫瘍にも応用できる可能性があるということで、興味深く拝聴しました。
 今回、私にとっては初めての海外での学会でした。当初は高度な研究の話を英語で聞く、ということで不安だったのですが、終わってみるといろいろ勉強になることが多かったです。学会参加をお許し下さった片山先生、学会中お世話になった室田先生、松本さん、それに学会中の代診をお願いした山賀先生、奥田先生に御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。


平成28(2017)年5月15日掲載