Psoriasis(乾癬:かんせん)の由来
世界で最初に乾癬を記載したのは「De
re
medica」の第5巻第28章でケルススCelsus(B.C.25〜A.D.45)という人物が「乾癬」と思われる記載をしています。英独仏ラテンではPsoriasisと書きます。ギリシャ語では、Psen(こする)→Psora(痒み・疥癬:かいせん)→Psorian(痒い)から由来しています。ウィランWillan(1757〜1812)によると、Psoriasisという言葉を最初に使ったのはガレノスGalen(133〜200)ですが、その症状は「乾癬」とは異なるもので、おそらく脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)を記載したのだと考えられています。またPsoriasis「乾癬」は他の色々な病気と一緒にされ18世紀頃まで間違った病名のため多くの「乾癬」の患者さんは大変迷惑を受けた事と思います。この間違われた病気と「乾癬」とを初めて区別したのはウィランで、「乾癬」に対してPsoriasisという言葉を初めて用いました。彼は「乾癬」を独立した病気と考え、その類症も記載し(1808年)ましたが、長い間呼ばれていた病名から簡単には逃れる事はできなく、"Lepra
vulgaris"という名で典型的な「乾癬」の記載を行いました。「乾癬」を指す病名として、"Willan's
Lepra"という病名がこの頃の医学辞典に載っています。「乾癬」の間違った病名を正したのは、今から約一世紀半まえのへブラHebraによって、1841年に「乾癬」から"Lepra"という言葉が初めて取り除かれました。
日本では明治初期(1878)の「対症辮明」(たいしょうべんめい)という本でPsoriasisに「布曽里亜失」(ぷそりあしす)という漢字を使っていました。大正時代の土肥慶蔵「皮膚科学」には尋常性鱗屑疹(じんじょうせいりんせつしん)と言われ「乾癬」も並記されていました。
参考文献:西山茂夫「皮膚科の病名由来アラカルト」協和企画通信
掲載:西田健樹
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