大阪に乾癬患者友の会誕生!
平成十年十二月七日(月)大阪大学医学部付属病院第一カンファレンスルームにおいて、大阪乾癬患者友の会(仮称)が四十五名の参加で発足しました。これは元大阪大学医学部皮膚科学講師(現日生病院皮膚科部長)東山真里先生をはじめ、阪大病院乾癬外来担当医師、佐野栄紀先生、小阪博先生らが、医療チームと患者、患者同士のコミュニケーションの場として乾癬患者会を発足してはどうかとアンケート形式で呼びかけたところ多くの方が賛同されて設立に漕ぎ着けたものです。現在国内では北海道乾癬の会、三重県の乾癬の会がすでに設立され活発な活動をしています。設立総会では東山先生より本会設立の経緯と趣旨説明があり、入会者については居住地に関係なく入会可能との確認、役員は患者代表と相談医で構成する等の確認をし、その後、相談医の吉川邦彦先生、佐野栄紀先生、小阪博先生の紹介、挨拶がありました。また患者代表としては乾癬の治療、日常生活の注意、療養上の問題点などは個人のライフスタイル、生活環境、年齢、性別などにより異なることを考慮して、壮年男性、壮年女性、熟年の3組のグループに分けて各グループより2名、計6名の方を選出、いずれの患者さんも積極的に会の運営にあたろうという意気込みが感じられました。今後の活動については1}年2〜3回テーマを決めて学習会をすること 2)年2〜3回機関紙を発行し、情報交換、コミュニケーションを計ること、3)
本年京都で行われる乾癬学会で他の患者会との合同懇談会に参加することを確認しました。その後吉川邦彦先生(大阪大学医学部教授)から乾癬とはどんな病気、発症数、好発年齢など、病気の実態について分かりやすく説明されました。最後の自由討論では会の名称について乾癬という名称は感染症と紛らわしくイメージが悪いので別の名前にしてはどうかとの提案もされましたが、取り敢えず、大阪乾癬患者友の会でスタートし時期を見て再考することに決定しました。他に、温泉療法、食事との関係など質問が出されました。
大阪乾癬患者友の会発足に寄せて
大阪大学医学部皮膚科教授 吉川邦彦
私が大阪大学医学部皮膚科の教授に就任して早や十五年経ちました。私は以前から、乾癬を専門に研究していましたので、そのようなニュースが広まったのでしょうか、以来数多くの乾癬の患者さんが私の診察を受けにこられるようになりました。この病気はご承知の通り、慢性で頑固ですから、患者さんはたまる一方です。やがて通常の外来診察だけでは充分なケアが出来なくなったため、乾癬専門外来を設けて診療にあたるようになりました。その頃からいずれは患者さんの組織を作り、自ら乾癬の効率的な治療を学び、実践して頂く必要があると思っていましたが、つい多忙に紛れて先延ばしとなっておりました。この度私の片腕として乾癬診療に取組んで下さった東山先生が日生病院の皮膚科を担当されることになり、これを機会に乾癬患者友の会を作ろうという気運が盛り上がりました。長年の構想が現実となりましたことを非常に喜ばしく思っております。今後、この組織が徐々に充実、発展し、ひとりでも多くの乾癬の患者さんにQOLの向上をもたらすよう機能してくれることを期待しております。
北海道乾癬の会相談役小林 仁先生からのメッセージを紹介します
第一回大阪乾癬患者友の会開催おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。この会に多くの患者さんが集まられ、病気へのより深い理解と、そして病気に立ち向かっていく自覚、連帯感が培われていくことを期待いたします。北海道には「乾癬の会」という、乾癬患者、家族の会があります。私も相談役として一緒に会に参加していますが、病院の中では知ることの出来なかった患者さんの悩みに気付かされたり、あるいは皆の日常の工夫に驚いたり、学ぶことばかりで、会に参加できたことに大変感謝しています。また、会に参加した患者さんの多くが、自分で自分の乾癬をコントロールする力を身に付けていかれ、病院、医師の役割はほんの僅かなものであることを痛感させられました。病を持つと、とかく孤独になりがちです。ましてや皮膚の悩みは、人との接触、社会での活動を妨げ、気持ちも沈みがちになってしまうとおもいます。「かんせん」という言葉を誰が理解してくれるわけでもなく、差別に悩むこともしばしばかと思います。でも誰しも何かの悩みはあり、そして同じ「かんせん」に悩む方も数多くいらっしゃるのです。まず自分一人ではないことを知り、ふたりで三人で、もっと多くの仲間で励まし合い、病を克服されては如何でしょうか、私達皮膚科医ももちろん協力しますし、お互いの協力が乾癬の原因究明、治療法の開発になお一層拍車をかけるものと信じています。ここで少し北海道の「乾癬の会」について説明を加えます。「乾癬の会」は1992年(平成四年)、北大付属病院皮膚科を通院中の乾癬患者さんが中心となって設立された会で、現在では全国約四百名の患者さんが参加されております。慢性疾患ゆえに多大な苦痛に悩まれる方々が、お互いを励まし合うため、また社会に対し少しでも乾癬の理解を広げるため、そして乾癬の原因を究明、治療法の開発に協力するためを目的として設立されました。本会の活動には、定期的な学習会の開催、会報「陽だまり」の定期的発行、年一回の豊富温泉ツアー、その他に募金、署名運動、治療パンフレットの発行などがあり、和やかな中にも、意識の高い活動が繰り広げられています。北海道以外に、三重県にも患者の会が設立されています。また世界には数多くの国に患者の会があり、何年かに一回か世界大会も開かれております。お互いに連帯し協力し合って頑張りましょう。お集まりの皆様におかれましては、一時も早い乾癬の平癒を、そして東山先生におかれましては益々のご活躍を心からお祈り申しあげます。
乾癬とつき合い三〇年
大阪市 H子
私と乾癬の出会いは一九六九年(昭和四十四年)頃、脚の後側にぷつっと出来た皮疹から始まりました。それから三〇年、長い間のことなので、気持ちの上でも色々なことがあったように思います。とりわけ不安に思われたことは、この病気が原因のはっきりしない難病という位置付けのみで、病院でいろいろな治療が施されてきましたが、これと云った自分自身に確信できる治療法が見つからない中、身近に同病者も知らず、果たして他の同じ病気をお持ちの方々がどのようにしてこの病気と共生し、どのような対応をされているのか知りたいと云う沸々とした思いの中で出会ったのが「北海道乾癬の会」でした。このことがきっかけで日夜割り切れない不安なトンネルに入り込んでいた私の心に光が差し込んできたような感じが芽生えたと思います。この度、大阪の地に本会が発足することを知り、自分の悩みを語ったり、体験を話し合ったりする場が身近にあり、本当に自分が知りたい治療の情報が得られる。このような思いで参加させて頂きました。ひとりひとりの病態は違っても、治療の情報交換を通して、前向きで建設的な気持で自分を励まし、今日より明日、明日よりあさってと力強く進歩が始まるのを今確信しています。
治療法の確立を願って
兵庫県 N子
開業医の先生から、乾癬と診断されてからステロイドを長期塗り続けても良くならず、漢方医にも通うこと五年あまり、、時には中国の名医と云われる方にも診て頂いたこともありました。しかし、いっこうに快復することはありませんでした。温泉旅行をいたしましても、大浴場はさすが気後れして、入れず、部屋の小さなお風呂に入る始末で、何のため
の温泉旅行かすっかり落ち込む日々の連続でした。たまたま吉川先生の乾癬についての記事を拝見し、阪大病院を訪れました。処方された経口薬チガソンで驚くほど状態が良くなり大喜びしましたが、副作用のことがわかり、今一抹の不安を感じている今日この頃です。この度、乾癬患者友の会で同じ病気の方々と出会い、二百人中一人の割合であるといわれる寂しさも拭われる思いをいたしました。原因不明の新陳代謝異常とお聞きすれば、完治することの難しさも充分理解できますが、前途ある若い方々のためにも、一日も早く原因究明が急がれ、新しい治療法が開発されることを切望してやみません。
豊富温泉が効く?
大阪市 M氏
北海道の稚内(日本のてっぺん)にある豊富温泉が乾癬に効くという話を聞き、早速行ってきました。私の乾癬歴は十数年になります。病院でかなり乾癬は抑えられているのですが完治しないという状態です。今まで、皮膚病に効くという温泉にはあちらこちら、こまめに行って来ましたが、これといってよく効く温泉には出会いませんでした。今回、「もしかしたら、、、、」という大いなる期待を込め、北海道に旅立ったわけです。結論からいって、私には効きました。身体全体から乾癬が消えました。(赤みは少し残っています。)今、一ヶ月程たちますが、現在、肩などに、少し乾癬のぽつぽつが出てきた他は身体全体としてはきれいな状態で、銭湯にも行けそうです。(いつ元の状態になるのかちょっと心配なのですが?)詳しい話は、第一回定例会でお話しします。ご期待ください。
乾癬とわからず二年あまり
吹田市 A子
最初のきっかけはと申しますと、日頃使い慣れた洗剤をある日変えたことから始まりました。時がたつに従って段々ひどくなってきましたので、近くの病院に行き治療を受けましたが、なかなか良くならず二年二ヶ月も通った末、同じ頃通院していた阪大病院神経内科の先生にすすめられ、同病院の皮膚科で受診したところ、「乾癬」との診断でした。皮膚科の先生との対話の中で身体中ぎっしり乾癬が広がることもあると云われ大きなショックを受けました。それからは、発疹の広がった手に人の目を感じる日々、たまらなく不安と孤独感にさいなまれる毎日、、、、、。通院する中、同じ病気に苦しむ方々とお話ができるようになり、皆さんの私より長い年月の病気との戦いを知り、お互い励まし合ったり、慰めあったりするなかで、私も頑張らねばという思いを抱きました。そんな時期、乾癬患
者友の会の設立の話を聞き、早速入会しました。吉川先生の乾癬についてのお話などを聞き、熱意あふれる先生方の暖かい人柄などに触れ、ナースチームの看護婦さん、事務局の方々のご協力で大阪に友の会を立ち上げて頂き、感謝と希望の気持ちで一杯です。これからは会員同志、語り合え痛みを分かち合える喜んで出席のできる場とするために私も微力ではありますけれど、他の役員の方々と手を携え、活力ある活動計画をすすめて行きたいと願っています。
友の会発足を祝います
阪大病院 8階東病棟ナースチーム 佐藤、堀井、山根
この度は友の会発足おめでとうございます。先日の発足会に私共も参加させて頂き、たくさんの方々の参加とその真剣なまなざし、また病棟では聞くことの出来なかった「世間ではかんせんを感染と理解している人が多い。正しい知識を広めてゆきたい。」といった力強い発言を聞くことが出来ました。しかし、同時に皆さんの苦しみの一端を垣間見る思いと、私達ナースの看護がこれでいいのだろうかという思いが交錯し複雑な気持ちに駆られました。日々の仕事の中でも、慢性疾患であるこの病気を患者さんが受け入れ、うまくつき合っていくためには、皆様の心のケアーが大切であることを感じております。皆さんとお会いし活動をともにするなかで得たことを、入院患者さん達へ幾分か返すことができ、また自分自身への成長に繋げていけたらと考えております。すでに目にされ、ご協力頂いた方もいらっしゃることと存じますが、今回、本創刊号とともにアンケートも同封させて頂きました。病歴、治療内容、通院の実際を把握し、病気に対する思い、その他会に対する要望などから今後、会をすすめるにあたり役立てたいと考えております。これは北海道「乾癬の会」相談役安田秀美先生の了承を得て過去北海道「乾癬の会」で実施されたアンケートの内容を一部抜粋引用させて頂いたものです。来る五月二十九日の定例会におきまして、皆様にご報告する予定でおります。アンケート回収数は四月二十六日現在三十五となっております。回収数が多ければ多いほど皆様の意見が反映され、中身の濃いものとなります。皆様のご協力をお願い致します。またすでにご記入頂いた方々には紙面をかりて重ねてお礼もうしあげます。
乾癬アンケート調査
北海道の友より熱きエール
北上する桜前線に乗って、大阪乾癬友の会会報創刊の嬉しい知らせが届いた。創刊号といえば私にも思い出がある。会員から初めて電話がかかってきた頃のこと、緊張して取った受話器の向こうから、まるで十年来の知己であるがごとき声が聞こえてきた。その声には同病相憐れむなどというものとは違う、親身さというか安心感のようなものがあった。私はその時、これだ、と思ったのでした。患者会会報もまた然り、病む者の心の支えになり得る会報が、今大阪に誕生する。病む者の目線で作る会報に期待するところは大きい。そして大阪の皆さん、九月に京都でお会いしましょう。今年は乾癬の会の全国初会合の年になるようですから。
北海道「乾癬の会」
会長 梁田 剛
日本乾癬学会が京都で開催
日本乾癬学会が京都で開かれることになりました。新しい治療法など最新の学会情報など期待すること大です。
内容については次号に掲載予定です。
日程 平成11年9月4日(土)〜9月5日(日)
会場 京都市 京都国際会議場
主催 京都府立医科大学皮膚科 安野洋一教授
乾癬患者の合同懇談会(予定)
第十三回日本乾癬学会(於 高松)に続き京都でも乾癬の患者さんと家族の皆様など多数の方が参加できる懇談会を開催したいと思います。詳しい内容はまだ出来ておりませんが、決まり次第、友の会ホームページなどでお知らせ出来ると思います。またこの懇談会は乾癬の患者さんやご家族の集まりですので、要望や意見などございましたら、遠慮なく別記アドレスへメール下さい。できるだけ皆様の要望などにお応え出来るように会を構成したいとおもいます。
日 程 未定ですが第13回日本乾癬学会会期中を予定
主 催
北海道「乾癬」の会
三重県 乾癬の会
大阪乾癬患者友の会
お知らせ
第一回定例総会開催
日 時 平成11年5月29日(土) 午後二時より開催
場 所 大阪大学医学部 講義棟 B講堂
交通アクセス
阪急バス、近鉄バス 阪大医学部前バス停 徒歩5分
大阪モノレール阪大病院前
当日は、講演、療養体験スピーチなど盛りだくさんの
内容を予定しております。振るってご参加下さい。
事務局移転のお知らせ
平成11年1月より大阪大学医学部皮膚科学教室から
日本生命済生会附属 日生病院皮膚科
電話 06-6543-3581(内線159) ファックス 06-6543-3418
東山真里宛e-mail:こちら
編集後記
今回、創刊号発刊にあたって、急遽編集委員が選任されました。大急ぎの原稿依頼、編集の運びとなり、内容的にも乾癬に触れることなく、読者の皆様の期待に添えなかったと思います。次号には気鋭の先生方の執筆で病態の解説など医学情報を掲載したく思います。最後になりましたが、北海道「乾癬の会」事務局長 岡部伸雄氏にはいろいろお世話になりました。紙面を借りて厚くお礼申し上げます。
編集委員