アトピー性皮膚炎治療研究会 第14回シンポジウム





ご挨拶

アトピー性皮膚炎治療研究会第16回シンポジウム
戸倉新樹

     アトピー性皮膚炎の研究が「表皮の時代」に移っていることはご承知の通りです。免疫学的な異常が起こっているとしても、それは表皮の異常に基づく、あるいは表皮と一体化した反応であるという見方です。とくにバリア異常はアトピー性皮膚炎の病態を考えるうえで、まず最初に大書されるべき事項になりました。実はバリア異常は30年以上前から、いや関連記載も含めばそれ以上前から言われていたことで、何も最近言われるようになった訳ではありません。
 しかしフィラグリンの遺伝子変異の発見は、研究者、臨床家に大きなインパクトを与え、「バリア異常」を改めて表舞台に押し上げました。私自身、アトピー性皮膚炎患者への見方が変わり、まずどういうアトピー性皮膚炎かを考えるようになりました。
 一方ではこのアトピー性皮膚炎研究史上世紀の大発見が、また新たな分からないことを生んでいるのも事実です。昨年、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会で、ミニシンポジウム「アトピー性皮膚炎とフィラグリンの最新情報」を清水宏先生、天谷雅行先生に行っていただき、大きな反響を得ました。今回のシンポジウムはその拡大版続編ともいうべきものです。しかも最近の知見が満載です。各々のご講演は、質問形式のタイトルを掲げました。その中には、「フィラグリンはバリア機能にとって重要か」、「フィラグリン遺伝子変異をもつヒトの中でアトピー性皮膚炎の割合はどれくらいか」、「バリア異常のないアトピー性皮膚炎の原因あるいはメカニズムは何か」、「フィラグリン遺伝子変異の知見はムンテラに影響を与えるか」等々逆説的な問い掛けも用意しました。
 各演者の先生にはお忙しい中、時間を割いていただいたことに心より感謝致します。お陰で「聴かないと損」という内容になったと思います。1日、じっくり、バリア異常を熟考していただければ幸いです。

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産業医科大学医学部皮膚科学教室
アトピー性皮膚炎治療研究会第16回シンポジウム事務局