アトピー性皮膚炎治療研究会 第17回シンポジウム


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アトピー性皮膚炎治療研究会第17回シンポジウム
会頭 上出 良一

    様々な切り口でアトピー性皮膚炎の治療を検討するアトピー性皮膚炎治療研究会シンポジウムも今年で第17回目を迎えます.あまたある皮膚疾患の中でもその治療に難渋する最たるものがアトピー性皮膚炎です.EBMに則った診療ガイドラインがあるにもかかわらず,一筋縄ではいかないこの疾患をひとくくりにして診療するのではなく,一人ひとりの患者さんの生活状況を勘案しながら最適の治療方針を提供していくことが大切ではないでしょうか.
今回のシンポジウムではアトピー性皮膚炎を,「赤み」,「痒み」,そして「悩み」という3つの観点(三「み」一体)から俯瞰すべくプログラムを構成しました.まず特別講演ではアトピー性皮膚炎のとらえ方のパラダイムシフトを引き起こしたフィラグリン遺伝子異常について,最新のとらえ方を天谷雅行先生にご講演いただきます.
治療の主体は炎症を抑えることにあります.「赤み」のセッションではステロイドやカルシニューリン阻害薬の適切で効果的な使い方,光線療法の実際を提示していただきます.「痒み」のセッションでは患者のQOLを妨げるこのつらい自覚症状について,脳内での反応や効果的な対応策,また,痒みによる睡眠障害の実態を示していただきます.イブニングセミナーでも抗ヒスタミン薬の効果について最新のデータを提示いただきます.「悩み」についてはこれまで最も対応が遅れていた領域です.生活環境におけるストレス,症状自体によるストレスや,医師からも含めて心ない言葉や対応で傷ついた患者の心のケアをどうするか,皆で考えてみたいと思います.
一般演題も予想以上にご応募いただき感謝しております.
「脱ステロイド」がはびこって久しいのですが,現在の患者はステロイドを使いすぎて治らなくなっているのではなく,使わなさすぎて皮膚のバリアが完全に破壊された状態で来られます.この状況を放置しておいてはなりません.今一度,皮膚科医は患者の心情を汲み取った適切なアトピー性皮膚炎診療を提供することで,社会の信頼を回復させなければなりません.本シンポジウムがその一助になることを祈っております.
なお,翌日には同会場で第2回皮膚科心身医学会を開催いたします.アトピー性皮膚炎のみならず,心身医学的対応が必要な皮膚疾患について討議されます,併せてご参加いただければ幸いです.

アトピー性皮膚炎治療研究会
第17回シンポジウム 会頭:上出 良一
(東京慈恵会医科大学附属第三病院皮膚科)