最終更新日 2000.7.26

大阪乾癬患者友の会 会報

−平成12年7月5号−


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ひとりで悩んで、孤独じゃ闘えない!手をたずさえ、共に歩めば、きっと克てる。

HP版は一部会報と異なるところもございます。詳しくは会報をご覧下さい

 

会報   4号 2000.4発行
会報   3号 1999.12発行
会報   2号 1999.7発行
会報 創刊1号 1999.5発行

 も く じ

第三回定例総会のご報告
兵庫医科大学篠山病院院長  立石博臣 先生
立石先生へのQ&A
講演内容語彙説明
乾癬に関するアンケート調査の報告 阪大付属病院 山根洋子氏
第十五回「日本乾癬学会」年次大会開催のお知らせ
乾癬学習懇談会in福島
ステロイド外用剤一覧表
ドボネックス軟膏 新発売のお知らせ
関節炎闘病記 大分市 るる
わたしの素顔 MT(八十二歳)
豊富温泉湯治ツアー
会費納入のお願い
編集後記

飛翔、新たなる出逢いを目指して、、、、、、、。
新しい組織が関西に、熱い期待を担って今誕生しました。

発行 大阪乾癬患者友の会
日生病院皮膚科事務室内
編集 友の会編集委員


第三回定例総会のご報告

皆さんこんにちは、如何おすごしでしょうか?第三回定例総会の報告です。

 去る、六月十日(土)に大阪乾癬患者友の会の第三回定例総会が、大阪市西区の日生病院で午後二時より開催されました。

 近畿地方は前日から梅雨に入り、当日の天気が大変心配されました。しかし曇り空ながら天気も崩れず、おだやかな一日となりました。午後一時の受付には早くも山形県からの友が一番乗りされ、東京、静岡、愛知、徳島、島根、山口、大分と近畿圏外から沢山来阪されました。またはるか鹿児島県奄美大島からも駆けつけられた会員の女性には、幹事一同感激の思いでした。総会には会員外の参加者も多く、総参加者数九十名を超えました。

 総会は会長挨拶に始まり、事務局長東山真里より友の会事業報告と今後の活動予定につき、報告を致しました。

 事業報告を要約します。

現在入会者数は二百七十四名に達しております。本年四月より会の正常運営のため会員の皆様から年会費三千円頂戴することになりましたが、現在百二十八件ご納入頂いています。引き続きご協力宜しくお願い申しあげます。    

今後の活動予定については本年九月八日福島県で開催される第十五回「日本乾癬学会」年次大会の「乾癬学習懇談会in福島」に参加し、北海道「乾癬の会」三重県乾癬の会、茨城県乾癬の会と交流を深めることが当面の予定です。

 また、本会のイベントとして、海水浴や温泉ツアーを提案したところ、温泉ツアーには十数名の希望者が挙手されました。温泉ツアーは北海道最北端の豊富温泉を指しますが、距離的、費用的、時間的に大変な企画になりそうです。困難ではありますが、日本の乾癬患者のメッカ?だけになんとか実現に漕ぎ着けたいものです。

会員数が増えるにつれ、運営の仕事もますます増えることが予想されますので、会報の読者で、幹事会に協力してもよいとお考えの方は是非事務局にご連絡下さい。お待ち申しております。

 続いて、大阪大学医学部付属病院8階東病棟山根洋子ナースより「乾癬についてのアンケート調査の報告」がありました。前回五月の中間報告との対比を示しながらの報告は、短期間での調査にも拘わらず、各調査項目に乾癬患者の意識の向上と変化が読み取れる興味深い調査結果となったようです。

 その後、兵庫医科大学篠山病院長立石正臣先生の「関節症性乾癬の臨床」

という演題で、乾癬より生じる関節炎についての講演がありました。会員へのアンケートで最も関心あるテーマでの講演という事で、今回皆様の非常な関心が集まった講演となりました。講演後は講演内容についての質問が続出し、司会者が時間の関係で質問の打ち切りをお願いする場面もありました。  

 関節症性乾癬への質問等が予想外に長引き、懇親会開始はすでに午後四時を過ぎました。大急ぎで、総会会場の会議机を並び替え懇親会場に模様替えしました。

恒例のビンゴゲームが開始、次々とビンゴ完成者が会場前列に景品を受け取りに殺到、演壇前は人であふれていました。北海道「乾癬の会」岡部伸雄氏ご提供の豊富温泉原油もあっという間に会員の手に。その他の用意した多数の景品も飛ぶように売り切れ?ビンゴゲームも終了しました。その後参加者どうしの歓談が始まりました。

 会場の入り口部分では大型プロジェクターによるインターネットの実演がありました。また今回初実施の名刺型「友の会交流カード」は皆さん使い方はおわかりになったでしょうか?事前に詳しい説明もなく配布しましたが、それでも八十枚ほど参加者交流の名刺代わりに使われたようです。懇親会後も個人的に情報交換や、交流に使っていただければという趣旨で用意いたしました。短い時間ではありましたが、それぞれのテーブルでは乾癬論議に花が咲いておりました。今後はもっと懇親会の時間を長く取り皆様の交流が一層進むよう幹事一同努力いたします。

 五時過ぎには名残惜しくも、懇親会はお開きになりました。十二月には大阪大学で再会しましょう。必ず、、、、、。

 

 


「関節症性乾癬の臨床」兵庫医科大学篠山病院院長 立石博臣先生

 

 始めまして、立石です。私は以前から関節症性乾癬に興味を持ち多くの患者さんを診断し手術も手がけてまいりました。東山先生からのご依頼で講演を引き受けましたが、多分大阪近郊の方々のごく小数のお集まりと考え気軽に会場に来まして、会場の参加者の多さにびっくりした次第です。

 乾癬性関節炎とは?

皮膚科の医師が関節症性乾癬と呼びます疾患は、私たちリウマチ性疾患を扱う整形外科医の立場からは乾癬性関節炎と呼んでおりますが、内容的には同一のものであります。乾癬症状がベースにあり関節に水が溜まったり腫脹を伴う症状を合併する症例を乾癬性関節炎と定義つけております。リウマチ因子はおおむね陰性を示しますが、約5%の患者さんからは陽性を示す血液反応があります。脊椎にも症状が出現することもあります。

 

乾癬性関節炎の歴史

次に乾癬性関節炎の歴史を簡単に振り返りますと、1818年、フランスのアリベールという医師が乾癬性関節炎に言及し、1860年に同じくフランスの皮膚科の医師として有名なバザンがソリアーシスアースリテイック(関節症性乾癬)と名付けました。 1880年には、ブルデイノンという医師が乾癬と関節炎の合併について詳しく述べております。 リウマチ因子は1940年代に発見されました。その後研究が進みリウマチ因子の陰性、陽性が明確になるにつれリウマチ因子陰性関節炎がRAとく別され、その一つとして、アメリカのライト医師が1959年にソリアテイックアースライテス(乾癬性関節炎)と医学書などに記したことが現在のリウマチのテキストブック等に乾癬性関節炎として定着しております。

  乾癬性関節炎の診断基準

次に、乾癬性関節炎の診断基準について申しあげます。まず臨床的には必ず皮膚の乾癬症状があり、爪の変形なども診断基準とされます。また一関節以上の疼痛と腫脹、運動制限を伴い、リウマチではPIP関節(指の第二関節)が傷む症例が多いのですが、乾癬性関節炎ではDIP関節(指の第一関節、爪側の関節を指す)にその症状が顕著に表れることが特徴といえます。また指のソーセージ様腫脹なども認められますが、リウマチにみられる皮下結節(リウマチ結節)は認められません。かつ、リウマチ因子は陰性であります。このような診断基準で診断されます。X線上、ペンシルインカップ変形といわれるものは丁度関節部分の片方が鉛筆の先状に尖るがごとく骨が溶け、もう一方の関節部分がカップ(杯)のように被さる状態で、このようになりますと、関節がぐらぐらになるムチランス変形を呈します。

 

乾癬と関節炎の関係

次に、乾癬と関節炎の関係について不明な点が多いのですが、紅皮症乾癬など広い範囲に渡る皮膚症状に多く見られます。推測の域を出ませんが、皮膚の乾癬症状が直接関節に何らかの炎症因子(サイトカイン等)を出しているように思えます。結局、現在では免疫異常というような表現でかたずけられているのが現状です。好発年齢は25歳から30歳で、発症の仕方は、徐々に発症するのは3分の2で、3分の1が急激に発症します。また乾癬が先行して関節炎を併発する人が75〜80%にのぼり、逆に関節炎先行型が10〜15%、同時発症が5%程度です。リウマチ因子が陽性の人と陰性の人を比較すると陰性の人がはるかに多いようです。

 

関節炎発症率について

乾癬患者のうち、どの位の割合で関節炎を併発しているか、私が神戸大学と兵庫医大で調べた結果では1.5〜2.0%弱の人が関節炎を併発していました。また男女別では1.00対1.04の比率でほぼ拮抗していますが、脊椎に痛みのある人は男性は女性の約2倍の比率で発症しています。またリウマチに似た手指の変形などは逆に女性の方が多い傾向にあります。次に家族発症ですが、親戚など身内に乾癬性関節炎がある人は、無い人に比べて発症率が高い傾向にあります。乾癬性関節炎の出現率の割合として、身内に乾癬性関節炎が無い人の発症率は0.1%で身内にある人は3〜5%の割合でかなり高くなります。これは組織適合性抗原、いわゆる白血球の血液型といわれるものですが、このHLA抗原が非常に関係しているようです。

 

HLA抗原について

次にHLA抗原に言及しますが、臓器移植などにはHLA抗原が合わないと移植できないというようなことがあります。ヒトにはそれぞれ特有のHLA抗原をもっていますが、強直性脊椎炎とその近縁疾患には、組織適合性抗原 HLA・B27陽性の人に最も強く関連すると言われていますが、乾癬性関節炎でもその関係が指摘されています。

乾癬性関節炎の症状

乾癬性関節炎には約30%の人にぶどう膜炎症状が出現しています。また乾癬症状のみの患者さんの20%に爪の変形が認められますが、乾癬性関節炎の人の場合80%もの人に爪の変形が認められます。爪が浮き上がる(オニコライシス)や爪の下の骨が増殖してくる症状が特徴です。また、乾癬性関節炎の初期症状として手指が腫れることが多いのですが、指が腫れる原因としては他に種々のものがあります。腱鞘炎、初期の強皮症、リウマチ、変形性関節症などですが、手の指の一番先の関節には、変形性関節症がしばしば起こります。これをヘベルデン結節と呼んでいます。同じ変化が指のまん中(第2関節)におこるのをブシャール結節と呼びます。

 

リウマチとの違いについて

リウマチの場合はどちらかというと手指の第2関節(PIP)やMP関節が腫れてきます。乾癬性関節炎の場合は第1関節(DIP)が腫れてくるのが特徴といえます。足の指の腫れなども乾癬性関節炎に多いようです。手指のスワンネック変形(白鳥の首様変形)やボタンホール変形はリウマチに特有ですが、オペラグラス変形(ムチランス変形)のように骨が溶けてぐらぐらになる症状はリウマチ、乾癬性関節炎両方に見られる症状です。

 

乾癬性脊椎炎とは?

乾癬性関節炎の患者で、脊椎の痛みを訴える患者さんがありますがそれを乾癬性脊椎炎と呼びます。どの部分の脊椎からも発生します。頚椎(首の骨)も結構多いが、腰椎も多いです。レントゲン変化が認められる割には疼痛はそれほど強くないのが特徴です。

 

血清反応陰性脊椎関節炎

乾癬性関節炎はリウマチ因子陰性脊椎関節炎の7つの疾患

◎ 強直性脊椎炎

◎ ライター症候群(反応性関節炎)

◎ 潰瘍性大腸炎

◎ クローン氏病

◎ ヴイップル氏病

◎ ベーチェット氏病

◎ 乾癬性関節炎

のひとつに分類されています。

 

リウマチ因子陰性脊椎関節炎の共通項について

 

リウマチ因子陰性脊椎関節炎の症状について左記の共通する症状があります。

〇リウマチ因子陰性(血液検査)

〇皮下結節なし

〇末梢関節炎あり

〇脊椎炎あり

〇仙腸関節炎あり

〇皮疹あり

〇爪の変形あり

〇眼の病変あり

〇HLA抗原 B27示す

〇アキレス腱などの疼痛あり

血駅検査異常としては血沈亢進、CRP亢進、乾癬の表皮細胞の代謝亢進のため尿酸値があがります。

 

乾癬性関節炎の進行

 乾癬性関節炎に罹患した患者さんにとって、将来の関節炎の進行状況は大変気になるところでありますが、関節の破壊は割合少なく、少々関節が痛んでも心配はありません。しかし約15%の人に骨破壊の症状があらわれますので注意が必要です。

 

乾癬性関節炎の治療

最後に治療方法を述べます。全身療法としての痛み止めとして非ステロイド性抗炎症剤投与、関節炎がひどくなってきますとレチノイド活性型ビタミンD、抗リウマチ剤、メソトレキセート(MTX)、サイクロスポリン等の投与、抗サイトカイン療法等の生物学的療法などがあります。

 以上で講演をおわります。ご清聴ありがとうございました。

 


立石先生へのQ&A 

Q私は皮膚の症状としては紅皮症ですが、最近外反母趾がひどくなってきたようです。何か関係がありますか?

A関節炎の恐れがあるかも知れません。

 整形外科の受診をお勧めします。

 足指の場合、指間装具や特別の靴などありますからそれで矯正しながら

 悪化を食い止める方法をとってください。

 

Q先生のご講演によりますと乾癬性関節炎の患者さんは乾癬患者の1〜2%ということですが、周りで見聞きする範囲ではもっと多数の方が関節の痛みを訴えておられるようで、私たちの感覚とはズレがあるように思いますが?

A確かにおっっしゃる通り関節の痛みを訴える乾癬患者さんは多いです。

 しかし、私ども整形外科医が診断す

る限りは前述の発表統計通りです。

関節の痛みだけでは、関節炎とは診断しない訳です。実際に関節の腫脹や変形を認めないと関節炎と診断しません。

しかしながら、以前の皮膚科学会の統計などによりますと、関節痛を訴える乾癬患者さんは6000例の症例中約30%を占めていたという報告はありました。

 

Q関節炎患者の日常生活ですが、関節痛が強いとき、安静にした方が良いのかそれとも痛みをこらえてリハビリのつもりで動かした方が良いのかどちらが良いのでしょうか?

 

A関節とか、骨とかはやはり動かしたり歩いたり負荷をかけることによって強くなってきます。少々の痛みなら動かしたり、歩いたりして関節の回りの筋肉などを鍛える必要はあります。

適当な運動量とは運動後2〜3時間しても痛みが引かない場合については運動のやり過ぎでしょう。運動後1時間くらいで痛みが引く程度を目安に運動を行なって下さい。

    

Q最近、鎖骨が痛むのです。医者で何度レントゲン写真を撮っても異常なしといわれるのですが?

A鎖骨の端にはやはり関節があります。そこが乾癬性関節炎によって痛むのかも知れません。詳細に見ると骨そのものにもレントゲンで異常が発見される場合もあります。治療としては痛み止めを服用したり軟膏を塗ったりというようなことです。

 

 


講演内容語説明

☆リウマチ

 現在リウマチといえば、狭義に慢性関節リウマチ、リウマチ熱、若年性関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症などを指しますが、広義のリウマチ性疾患となると多数の疾患があり、。百種類以上あるといわれています。基本的症状としては骨、関節、筋肉などの運動器に病的な疼痛を伴う共通項を持つ疾患です。好発年齢は30歳〜50歳です。慢性関節リウマチ患者数が圧倒的に多い日本では一般にリウマチというと慢性関節リウマチ(RA)を指します。(日本リウマチ友の会約2万2千人の会員数)。その確定的な原因説は明らかにされていません。

☆リウマチ因子

 リウマトイド因子(RF)(rheumatoid factor)

 リウマトイド因子はリウマチ患者の血液中に認められますが、血液中だけでなく、関節液中にも認められます。また慢性関節リウマチ患者の関節滑膜にはリウマトイド因子を盛んに産生している形質細胞が認められ、リウマトイド因子が慢性関節リウマチの関節炎に密接に関連している証左といわれています。

☆ぶどう膜炎

 眼球の虹彩、毛様体、脈絡膜を一緒にしてぶどう膜とよびます。ここは色素や血管が豊富で、炎症が起こりやすいところです。虹彩と毛様体に炎症が起きたものを虹彩毛様体炎、脈絡に炎症が起きたものを脈絡膜炎、これらが同時におかされたものをぶどう膜炎とよびます。

☆サイトカイン

 モノカイン、リンフォカイン、インターロイキン、インターフェロンなど免疫担当細胞から分泌される各種液性因子をサイトカインと呼びます。サイトカインは急速に進歩しつつある研究分野で、さらに新しいサイトカインの発見が続くと予想されています。個々のサイトカインについても遺伝子レベルでの研究が進んでいます。

☆血清

 血液を試験管に入れておくと赤い部分が下に沈殿し、上に上澄みの液体が残る血液分離状態がおこります。上の方の黄白色透明の液体を血清と呼びます。血漿からフィブリノーゲンを除いたもので、アルブミン、グロブリン等の蛋白質(血清蛋白質)を含みます。

☆血沈(赤血球沈降速度)亢進

 血沈は関節炎の炎症などによる血漿蛋白の変化を示すもので、フィブリノーゲン、γグロブリンなどの増加によって亢進します。目盛りのついた細いガラス管に血液を入れ、抗凝固剤を加えて立てておき、赤血球の沈む速度を60分後に測定するものですが、結核、肺炎、扁桃炎、肝硬変、心筋梗塞など各種病気が疑われます。

☆CRP(C反応性蛋白)亢進(C reactive protein)

 CRPとはβグロブリンに属するタンパク質で、炎症細胞から出るインターロイキン6の刺激により肝細胞で産生されます。急性の炎症がおこったとき、血中にCRPが増えます。各種炎症性疾患の存在を判断する検査指標となります。CRPが正常値以上の値を示した場合、リウマチ熱、慢性関節リウマチ、ガン、心筋梗塞などが疑われます。

☆仙腸関節

 骨盤と脊椎の間の関節

☆非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)(non steroidal antiinflammatoy drug)

いわゆる消炎鎮痛薬です。鎮痛だけでなく炎症も押さえる薬です。一般によく知られている市販薬アスピリン、バファリンはこの仲間にはいりますが、

治療にはインドメタシンなど。  

 


乾癬に関するアンケート調査の報告
大阪大学医学部付属病院8階東病棟ナースチーム 山根洋子氏 

皆さまが日頃、乾癬とともに日々を送られる中での悩みや苦労を率直に伺うことで、今後の会の運営、ならびに治療と看護に生かしたいと考え、アンケートを実施させて頂きました。  回収人数は、男性八十五名、女性四十九名の計百三十四名でした。年齢の内訳は二十歳から八十五歳まで、平均年齢四十四歳で壮年の方々を中心に解答を頂きました。会社勤めの方が八十三名、現役を退かれた方十八名、主婦が十八名、学生三名でした。回収の方法は、受診先の外来に手渡して頂いたり、郵送やインターネットの形で頂いたりしております。

アンケートの結果の内容について、皆さま自身の治療や皮膚のケアの方法など具体的に聞かせて頂きましたが、皮膚の手入れはその必要性から、一日一回は入浴し、きっちりと塗り薬を塗っている方が殆どでした。

 入浴剤の使用に関してはムトーハップやスギナなど、石鹸では刺激の少ないベビー石鹸や米ぬか石鹸、よもぎ石鹸など、自分の皮膚に合ったものを工夫して使用されていることがよく表れていました。その反面「してはならないと思いつつ」そのかゆみからこすってかさぶたを落としてしまう、という方も若干名見られました。

塗り薬についてはボンアルファが六十二名、ステロイドを使用されている方が八十七名にのぼりました。またステロイドの名前をきっちり知っておられる方が多く、自分の治療に対する関心の高さが表れていました。その他光線療法が六十名、免疫抑制剤七名、サランラップ六名、チガソン内服十二名、漢方薬内服、コールタール剤使用など少数意見としてありました。

それでも症状が悪化した場合、医師に相談する、二十四名。自分の判断で薬を変える、八名。サランラップを取り入れる十二名。良くなるまで時期を待つ、二十一名でした。

 

今回の皆さまの病歴は平均十二,九年と長く、病歴の長い中での状態の良い時期、悪い時期が繰り返し表れることをご自分で理解されているのだと考えられました。

 悪化しない工夫として、規則正しい生活、禁煙、入浴を欠かさず、塗り薬を塗ること、ストレスを避けるなど一般的によいといわれるものを積極的に取り入れ、自分の体調を整えている方が多く見られました。効果があるにも個人差があるため、病歴の長い中でご自分に適するものを探しておられるのだと考えられました。 

   

 次に乾癬に関する現在のお気持ちをお聞きしたところでは、乾癬があるために一番つらいことは何ですか?について見た目という外観をあげる人が男女差なく最も多く、ふけ、かゆみと続き、心身の苦痛をあげられる方が多くありました。また、反面、軟膏を塗るのが面倒という回答も多くありましたが、先ほど述べましたように、皮膚の手入れの必要性から実際はきっちりと塗られていることがわかりました。その他として、かさぶたの掃除、衣類が汚れる、温泉、海水浴での人の目や、、偏見など深刻な意見が寄せられました。これらの結果は前回の中間発表と同様の意見でした。

 乾癬があるために日常生活で避けていることがありますか?には「はい」と答えた人はなんと七十二名六十%にものぼりました。具体的には、水泳、海水浴と温泉、銭湯は半数以上でした。その他の意見として、半袖、半ズボンの衣類、集団検診や第三者との旅行、裸になれない、など深刻な意見がありました。反面、旅行には気にしないで行くなどの意見もなかにはありましたが、病状が、日常生活に大きく影響していることが感じられました。

 乾癬があるために人から特別な目で見られている気がしますか?には「はい」が五十%以上でした。具体的には髪の生え際やふけを人から指摘されることがある。温泉での人の目など。小数意見として今は誰の目も気にしないという意見もありました。。

 次に乾癬があるため男女交際に差し障りがありますか?に対しては「いいえ」が半数以上の五十二%で「はい」は四十八%でした。具体的には結婚前では問題になったかな?とかその年齢のときは気にしたが結局支障は無かったというような解答でした。

 次に同性との付き合いにおいて差し障りがありますか?については「はい」は五十三%で、「いいえ」が四十七%でした。

 次に、子供に遺伝するのではないかと心配していますか?については「はい」「いいえ」の解答がほぼ五十%と拮抗しました。

 現在、遺伝的要因は否定されているが、直接的には遺伝はしないだろうが皮膚が弱いというレベルで子供に受け継ぐのではと心配される方がありました。

いろいろな悩み事は周りの人々に乾癬についての正しい知識を広めることでよくなりますか?には男女差なく「はい」は八十%でした。

次に、乾癬についての知識をどこから得ていますか?については、のべ二百三十五名中、医師が七十二%と圧倒的であり、他、雑誌や本、インターネットや他の患者さんというのも多くあげられました。特にインターネットでの情報収集は前回中間報告では十四名と小数でしたが、今回五十三名と大きく増え、五月での会員数が約二百四十名ですが、インターネットでの申込みは約半数を占めております。昨今の情報化社会の特徴が如実に表れた結果となりました。 

続いて大阪乾癬患者友の会をどのような場と考えられますか?という問いに対し、情報を得る場として会に期待していると考える方が五十五名で、その中でも最新の医療情報や体験談を希望される方が多くおられました。回を重ねる度に相談できる場、話し合い、心の支えとなる場と考える方がますます増えていくことと思います。

 次に、どのような活動を望みますか?という質問に対しては、中間報告では、上位3位は会報、会話、講演会の順序でしたが、今回はその順位に変化が見られ、会員同士の会話を希望される方々が一番になりました。また食事会より温泉ツアーなどを希望される方がいくらか増えていることは今後の会の活動企画として注目すべき点です。

 次に医療者に望むことはなんですか?については、情報の提供を求められている方がほとんどでした。しかし、会の運営に関しての結果は、患者さんが中心となって、お互いを高め合っていくという友の会の会則と一致する傾向が表れています。

 入会については、入会する、すでに入会している、という方々が圧倒的多数でしたが、入会しない理由として身体が不自由、仕事が忙しい、遠方のため思案している等がありました。本日の総会参加についても、参加したいが遠方であるとか、旅費がかさむなど切実な意見がありました。

また、以前にご協力頂いた「自信度アンケート」の結果ですが、昨年五月度調査より、9月度調査に短期間にも拘わらず点数が向上するという結果が表れました。

 アンケートへのご協力ありがとうございました。

  阪大付属病院8階東病棟ナース 佐藤、山根、堀井

 

 


第十五回「日本乾癬学会」年次大会開催のお知らせ
(注意:日本乾癬学会ページへの一般の方の問い合わせ、書き込みなどはご遠慮ください)

日時:2000年9月8日(金)〜9月9日(土)

会場:福島テルサ(福島市)福島勤労者総合福祉センター

福島市上町四の二十五 電話(〇二四)五二一―一五〇〇番

 

シンポジウム

◎乾癬遺伝子プロジェクトの現況と展望、他

ワークショップ

◎乾癬における炎症とその制御、他

 


乾癬学習懇談会in福島(詳細ページへ)

 

昨年の京都国際会館での学習懇談会は初の全国患者会の集まりで大変好評でした。
本年も「日本乾癬学会」終了後、乾癬学習懇談会を開催します。関東、東北方面の会員の皆様を中心にふるってご参加下さい。各道府県患者会の代表者が参集予定です。

日時:2000年9月9日(土)

講演:1.講演:乾癬と日常生活 講師:佐藤守弘先生(社会 保険福島二本松病院)

 

詳細が決まりましたら、大阪乾癬患者友の会ホームページ、はがきなどで連絡致します。

 


ステロイド外用剤一覧表(会報参照)

乾癬の患者さんでステロイド剤を使用した経験が無い人は皆無でしょう。

アトピー患者やその他現在も多くの患者さんに処方され、乾癬治療の最大の武器として君臨する薬ですが、長期にわたる使用で、その有効度の減少や副作用、使用を中断した時のリバウンドなどなど苦い思いをした患者さんも少なからずあると思います。 ドボネックスなど新登場した現在、ステロイド外用剤の使用はどのような変化を遂げるのでしょうか。アメリカやヨーロッパの現状から相変わらず、乾癬治療の重要な一角を担い続けることは確かなようです。 そこで、今更ながらステロイド剤ってどのような種類があるの?という素朴な疑問からその種類を調べてみました。「外用副腎皮質ステロイド剤」「ステロイド配合剤」「ステロイド外用剤の薬効による分類と血管収縮指数」「角化症治療剤」その他乾癬治療に一般的に使われる治療薬を対比しながら、次ページに提示しました。紙面の関係からステロイド剤などの最適な使用方法やその副作用など掲載できませんでしたが、乾癬治療の基本であるステロイド剤の種類の一覧表を見て何を感じられましたか?。次号以降に出来れば皆さんと共にステロイド剤を考えましょう。

 


ドボネックス軟膏 新発売のお知らせ(藤沢薬品ホームページより)リリース日 2000年6月8日

当社は、尋常性乾癬治療剤
「ドボネックス軟膏」(一般名:カルシポトリオール)を本年6月13日(火)に新発売致しますので、お知らせします。
 
 本剤はデンマークのレオ・ファーマシューテイカル・プロダクツ社で開発された活性型ビタミンD3誘導体の軟膏製剤で、米国、欧州各国はじめ世界80カ国以上で既に発売されており、海外における尋常性乾癬治療の主流となっております。日本においても、専門医の期待も高いことから当疾患の治療に貢献できるものと考えております。
 
 本剤は活性型ビタミンD3の誘導体であるカルシポトリオールを主成分としております。カルシポトリオールは非臨床試験において、天然型の活性型ビタミンD3と同等の角化細胞の増殖抑制作用及び分化誘導作用を示し、表皮細胞の角化異常を正常化することが明らかにされています。また、全身のカルシウム代謝調節に及ぼす影響は少なく、「製品特性」に示すとおり有用性の高い薬剤です。
 
 本剤は日本において帝國製薬株式会社がレオ・ファーマシューテイカル・プロダクツ社より導入して開発を行い、本年1月18日輸入承認を取得、同年4月14日薬価収載されました。当社は帝國製薬株式会社より販売権を取得し、当社及び帝國製薬株式会社の子会社テイコクメデイックス株式会社が併売します。当社にとってはアトピー性皮膚炎治療剤「プロトピック軟膏」とともに、皮膚科領域における製品ラインの強化をはかることができます。
 
「製品特性」
@活性型ビタミンD3誘導体(カルシポトリオール)の尋常性乾癬治療外用剤です。
A尋常性乾癬患者の皮膚に特徴的な角化細胞の増殖亢進、分化異常を正常化する作用を有します。
B尋常性乾癬に対する「中等度改善」以上の改善率は、91.4%(337例中308例)と優れた治療効果を示します。
C副作用は安全評価対象例数389例中、24例(6.2%)に37件認められました。主な副作用は掻痒12件(3.1%)、紅斑、発赤11件(2.8%)、刺激感・ヒリヒリ感9件(2.3%)等でした。また臨床検査値への影響として血清1α、25(OH)2D3の低下(66例中5件(7.6%)、血清リンの低下(317例中5件(1.6%)、血清1α、25(OH)2D3の上昇(66例中1件(1.5%)等認められました。
 
 
「記」
製品名:::ドボネックス軟膏
一般名:::カルシポトリオール
効能、効果::尋常性乾癬
用法・容量::通常1日2回適量を患部に塗布する。
使用上の注意:別添の「製品情報概要」をご参照ください。
包装::::10g、30g
発売日:::平成12年6月13日
薬価基準価格:0.005% 1g:160.7円
 
 
「使用上の注意」
本剤は活性型ビタミンD3製剤であり血清カルシウム値が上昇することがあるので適量を適切な部位に塗ること
 
@一週間に90g以上は塗らないこと。
A通常1日2回適量を患部に塗布する。
B顔面には使用しないこと。
C目に入らないようにすること。
D患部以外には使用しないこと。
E密封療法はしないこと。

 


関節炎闘病記 大分市 るる luluawat@d1.dion.ne.jp

97年 夏に、突然右足の小指がはれ、左膝、足首、右膝、足首、腰と1ヶ月で動けなくなってしまいました。当初皮疹は、頭のふけが多い程度で、関節との関連も考えが及ばず、急遽整形外科に入院したものの、1ヶ月間病名もわからずに過ぎて行きました。その間に左手が痺れて動かせない様になり、夜になると高熱が出て皮疹もからだにぽつぽつと出ました。大学病院に行き、即「関節症乾癬」と診断されました。ほぼ寝たきりの状態でした。9ヶ月間いろいろな治療を受けて、(治療法については御存知と思われますので割愛)99年冬には、ひとりで出歩いたり、車の運転もできるようになりました。先日の大阪乾癬患者の会にも参加できたほどです。

私の場合は急に進行するタイプで急変しましたが、現在は元気です。治ると言うと語弊があると思いますが、必ずよくなります。人によって効果はまちまちですが、自分の状態と治療方法を把握した上で適切な治療を受ける事でコントロールできると思います。悪化の予感があるときはそうも思えないこともありますが、病気と自分と担当医と上手に付き合って行くことが大事だと思っています。関節症でない方は関節症では?とかひどい部分を見て不安もあるでしょうが、知識として受け止めておいて、疑わしければ即検査を受けてください。早いうちなら、くい止める方法は多々あります。それと、まだ起きていない事に不必要に神経質にならないで下さい。精神的に悪化すると思います(笑)自分自身のコントロールが一番難しいですが、皆それぞれに症状、状況は違いますが共にがんばっている仲間が結構いるので,助けられております。


わたしの素顔 MT(八十二歳)

乾癬という業病に何年か前にとりつかれ不安と焦躁の捕虜となり、一喜一憂していた頃もあった。今でも心の底にはずっとある。しかし、今は農に生き、四季折々の野菜作りそして米作りをして、その成長を楽しみにそれに一喜一憂している。何時の日か訪れる旅路には綺麗な身体で行きたいという煩悩を捨ててはいないし、またそれを祈っている。折にふれ、短歌をも作っている。思いつくまま作ったツタナイ作品であるが。

「死にたきと思いし頃も遥かなりいまは夢もつ乾癬なれど」


豊富温泉湯治ツアー

 北海道「乾癬の会」では、毎年豊富温泉湯治ツアーを行なっておられます。本年も8月末に実施されるそうです。そこで、当友の会では「乾癬の会」にお願いして、湯治ツアーに当会員を合流させていただけるか打診したところ、快くご承諾頂きました。左記に日程表を提示しますので、参加可能な方は参加コースに合わせて、お申込み下さい。

 

日程:八月二十五日(金)二十六日(土)〜二十七日(日)

出発:二十五日 午前十一時三〇分

場所:北大病院玄関前(滝川駅停車)

帰札:二十七日(日)午後四時 

場所:北大病院玄関前(滝川駅停車)

宿泊と費用(右記場所起点)

(A)バス利用全日程参加者 二万五千円

(B)現地合流者(2泊3日) 二万円

(C)現地合流者(1泊2日) 一万一千円

本ツアーの魅力

@ 北大病院の川嶋先生、今までも同行して下さった、小林皮膚科クリニック院長の小林先生もご一緒の予定。 

A 同じ患者同士、他人の目を気にすることなく湯治ができる。心なごむ交流の旅ができる。

B 広大なサロベツ原野と砂丘、利尻富士が一望できる自然との触れ合いを盛り込んだ豪華な湯治ツアーです。

申込み方法 北海道「乾癬の会」会長 簗田(ヤナダ)様
電話 011-883-7223(FAX兼用)

締切日 平成十二年七月二十八日まで

申込み時の注意

@ 大阪乾癬患者友の会では会員が各地に渡るため、友の会として一括申し込みは取り扱い致しません。各個人で直接お申し込み下さい。

A ツアーの内容についての問い合わせは夜八時以降簗田会長様に直接電話して下さい。

B 参加申込み金は不要です。現地にてお支払い下さい。

C 申込み時には生年月日を明示して下さい。

D 北海道「乾癬の会」の特別のご好意による初めての合流企画ですので、参加される友の会会員の方は同行中、滞在中の行動につき宜しくご配慮の旨お願い申しあげます。

 


会費納入のお願い

本年度会費未納の方は恐れいりますが休会または退会されたものと見なされ次号より会報が送付されません。また友の会患者メーリングリストにも参加できませんので、悪しからずご了承下さい。

会費納入の郵便為替番号は0920・2・155745「大阪乾癬患者友の会」宛です

お近くの郵便局で申し込めば送ることが出来ます。

 


編集後記

 いよいよ待ちに待ったドボネックスが国内発売されました。その効果のほどはどうでしょう。次号はその効果について検証する特集号となりそうです。期待以上に効き目があり、尋常性乾癬患者激減、大阪乾癬患者友の会も退会者続出で閑古鳥が鳴き、運営に支障をきたしついには解散。というような真夏の夜の夢をみました。十二月定例総会には会員の皆様参加されるのでしょうか?会員の皆さん、乾癬が治っても大阪にはきてね〜。 幹事一同。