最終更新日 2002.1.24

大阪乾癬患者友の会 会報

−平成13年10月10号−


ホームへ戻る

幕張に集う164名
 東京に乾癬の友の会誕生のきざし・・・・

 

HP版は一部割愛している箇所もあり会報と異なるところもございます。詳しくは会報をご覧下さい。

バックナンバー
会報   9号 2001.8発行
会報   8号 2001.6発行
会報   7号 2001.2発行
会報   6号 2000.10発行
会報   5号 2000.7発行
会報   4号 2000.4発行
会報   3号 1999.12発行
会報   2号 1999.7発行
会報 創刊1号 1999.5発行

も く じ

乾癬学習懇談会2001in幕張
みんなで治そう乾癬の原因と治療
幕張乾癬学習懇談会アンケート
全国乾癬学習懇談会in幕張
  ■ 医療相談会
「ステロイド含まず」と偽り皮膚薬販売
お知らせ
入会申込みのご案内
オキサロール軟膏新発売のお知らせ
学習講演会の小阪博先生の横顔
編集後記

 


飛翔、新たなる出逢いを目指して、、、、、、、。
新しい組織が関西に、熱い期待を担って今誕生しました。

発行 大阪乾癬患者友の会
日生病院皮膚科事務室内
編集 友の会編集委員


 乾癬学習懇談会2001in幕張

去る9月1日、2日の両日に千葉県幕張のホテルニューオオタニに於いて第16回「日本乾癬学会学術大会」が開催されました。

2日目には学会開催に並行して同じく幕張のワールドビジネスガーデン(WBG)において「北海道乾癬の会」「三重県乾癬の会」「茨城乾癬の会」「大阪乾癬患者友の会」共催による「乾癬学習懇談会in幕張」が開催されました。

学術大会初日には4道府県の「乾癬患者コーナー」を開設し患者会の活動を紹介するパネルや各会発行の会報等を準備して患者会への一層の理解を深めて頂くために医師や医療関係者へアピールを行いました。

会を重ねるごとに患者会の活動も認められつつあり、乾癬学会の諸先生方のご支援に、患者会一同深く感謝する次第です。しかし、今回はPR活動に若干の課題が生じたようで、次回からの全国患者会の克服すべきテーマのひとつになるのではないかと思います。

しかしながらこのような患者会の活動は患者会の弛まぬ努力のもとで一進一退しながら着実に進歩していくのではないかとも感じています。

 

2日目の午前中はPR活動に終始し、午後には学習懇談会の会場となるワールドビジネスガーデン(WBG)に移動し、地元の会員さん有志の積極的なご協力を得て学習懇談会を始めることができました。

受付け開始直後から続々と参加者がつめかけ、関東は言うに及ばず全国から164名の方々が参加され盛大な懇談会となりました。

二十一世紀最初の全国学習懇談会を東京副都心の幕張でスタート出来たことは患者会の私たちにとって大きく飛躍できるきっかけとなると同時に、乾癬治療の進歩にさらなる拍車がかかる期待あふれる大会となりました。

今回世話人のひとりとして参加させていただき、このような盛大な懇談会が実現出来たことに大変喜びを感じています。

会場には来賓として日本乾癬学会理事長で近畿大学医学部教授の手塚正先生、帝京大学医学部教授の松尾聿郎先生、大阪大学医学部教授吉川邦彦先生を迎え諸先生方からは大変温かいお言葉をいただきました。

学習講演は東京逓信病院皮膚科部長の江藤隆史先生をお迎えして「みんなで治そう〜・乾癬の原因と治療」というテーマでスライドを交えながら分かりやすく講演して頂きました。  

江藤先生は東京大学医学部卒業後ハーバード大学に留学され帰国後には美智子皇后さまが帯状疱疹を患われたときの主治医をされた高名な先生だとお聞きしました。

講演終了後、乾癬に対する質疑応答を行い司会は北海道「乾癬の会」の相談医小林仁先生と東山真理先生のお二人に御願いしました。

参加者から戴いた疑問、質問の数々を来賓の先生方から平易に、また時おりユーモアを交えながら明快にお答えを頂きました。

講演の内容や質疑応答に付いては後述されますのでここでは控えさせて頂きます。

今回の学習懇談会に向けて御多忙中にもかかわらず講演を引き受けて頂いた江藤隆史先生や御来賓の手塚正先生・松尾聿郎先生・吉川邦彦先生・相談医の小林先生・東山先生には紙面をかりて厚くお礼申しあげます。

また患者会コーナーのパネルの製作に御尽力頂いた大阪大学医学部皮膚科学教室の西田健樹氏には大変お世話になりました。

最後になりましたが、関東地区の乾癬患者の皆様方には、関東患者会の輪が結実し発会飛躍の年となることを心よりお祈り申しあげます。

以上簡単ですが、平成十三年度の幕張乾癬学習懇談会参加のご報告をさせて頂きます。

幹事 OSAFUNE

 みんなで治そう乾癬の原因と治療

東京逓信病院 皮膚科部長 江藤隆史先生

「東京逓信病院の江藤でございます。私の病院は非常に早い時期から光線療法をやっています。日本では最初に名古屋と東京がスタートしているのですけれど、その東京の発祥の地の皮膚科のひとつなのであります。従って、乾癬の治療の中でも光線治療をこれからもちゃんと使っていこうという立場でやらせていただいて、小林先生にもいろいろ教えていただいてきました。今日は、一応いろんな治療法に関して、現在私が知っていることを、そしてまた、乾癬の原因はまだよく分かっていないのですが、少しそのへんのところも話をさせていただきたいと思います。」

(スライド)

 

「これが東京逓信病院なんですけれども、もうひとつ関東逓信病院という病院があって、逓信病院というとそちらのほうが有名で、「五反田でしょう」とよく言われます。病院の裏側には、2〜3分歩きますとこのあいだ小泉首相が来る来ないで問題になった靖国神社がございます。外堀というお堀の内側の部分で、JR飯田橋駅のそばなのですが、そこで働いております。」

(スライド)

 

「私、日本臨床皮膚科学会という開業医の先生を中心とした会の事務局のスタッフをやってまして、そこで患者さんがいらっしゃると渡していただくようなパンフレットを作っているのですが、私が乾癬を担当しています。このパンフレットは、【乾癬とは】で始まりますが、まあ皮膚科の病気は漢字が多くて、特にこのやまいだれに新鮮の鮮と書くこの字を使う病気がいくつかあります。1番有名なのは白癬という水虫、それからあと疥癬(かいせん)といって左側に、やはりやまいだれに世界の界の下側の介という字を書く病気などがありまして、特に疥癬は今老人医療施設ではやってきている、要するにダニが皮膚に寄生してどんどんうつっていくという病気です。白癬もやはり水虫ですけれどもいわゆるカビがうつるという。なんとなくうつる病気のようなニュアンスを受けさせるような、しかも乾癬、「かんせん」と呼べば感染症みたいように何かうつるのでないでしょうかと、乾癬のことをまったく知らない方が最初に診断を受けたときにはいろんな心配をされますが、うつる病気でないことは皆さんもご存知のとおりです。皮膚が赤くなって盛り上がって表面がかさかさうろこ状になるようなそういう状態が乾癬なのですが、中国では銀のうろこのようになるので銀鱗病という呼び方で呼ばれたりします。」

(スライド)

 

「皮膚科の教科書の中で分類してある部分を見ますと、炎症性角化症という部門の中にある代表的な疾患なんですけれども、炎症というのは赤くなっている、発疹が赤い、そしてその部分に角化が起こって、いわゆる角質の肥厚とか増殖とか鱗屑が強く起こってくる、そういうものが、全体的に炎症性角化症と呼ばれています。」

(スライド)

 

「その代表が乾癬、普通の乾癬は尋常性乾癬といって、それ以外にもいくつかタイプがあります。それ以外にも類乾癬とか扁平苔癬とかいろんな病気があります。」

(スライド)

 

「乾癬という病気、尋常性乾癬とは普通にあるさっきの写真に出したみたいな丸い発疹で出てくるものですが、それ以外にもまっかっかになってしまうような乾癬性紅皮症とか、それからプツプツ膿が出てくる膿疱性乾癬という病気、それから関節が非常に痛くなってくる症状を強く出してくる乾癬性関節炎とか関節症性乾癬というもの。それから小さなツブツブのまるで雨が降ってぽたぽたとしずくがあたったようなくらいの大きさのものがぱっとでてくる滴状乾癬。そして特殊なものとしては、膿疱性乾癬の仲間で手と足にしか出ないという、掌蹠膿疱症というタイプもあります。」

(スライド)

 

「乾癬の患者さんの発疹の部分を切りとってみますと、こういうかたちの皮膚になっています。普通の皮膚と比べて、乾癬の患者さんの発疹の部分の皮膚はこういう形で表皮がでこぼこと大きく波打ち厚ぼったくなって、大きな半島が沢山並んでいるようになっていて、丁度地図でいうと、僕は学生さんに教えているとき、サウジアラビアの形が繰り返していて、スエズ運河みたいな処から鱗屑をはがすと、ちびちび血が出てくる。これをアウスピッツと臨床で呼ぶのですけれども、そういう形の構造が特徴的な組織像といわれています。」

(スライド)

 

「昔から言われているのは、乾癬の患者さんの皮膚はそういう組織変化があると共に非常に早く分裂して入れ替わっています。普通の人に比べて、発疹がない部分でもちょっと上がっていますが、病変部ではものすごくたくさん分裂している。早く増殖している。」

(スライド)

 

「こういう正常なものがだんだん増殖して分化の異常が起こってきて、さっきの組織みたいな形を作ってきて、そこにいろいろな細胞が集まってくる、ということがわかっていますから、皮膚科の中では、その原因としていったいどういうことが働いているのだろう、免疫の異常、そして遺伝的な異常がどっかにあるのじゃないだろうか。そしてストレスなどの環境因子、そして代謝異常そういうものがあいまって表皮細胞のそういう変化を起こしている。要するに原因を追求してゆくと、このいろんないくつかの要素がそれぞれ患者さんによってもパーセンテージを違えて起こってきているようだといわれています。今も遺伝的な追求がずいぶんされていますが、まだはっきりしていない。はっきりある程度いえているのはかなり免疫的な異常が中心になって、いわゆるリンパ球という細胞が何らかの反応を起こして中心的役を演じているらしいと言われています。」

(スライド)

 

「これは私がよく一緒に仕事をする杏林大学の塩原教授が、いわゆる薬のアレルギーの時と乾癬の時の皮膚の状態を見てそこに出てくるリンパ球という、白血球の成分なのですけれど、どういう細胞がくるかというのを見ています。固定薬疹という病気ではCD8というリンパ球が多く、ところが乾癬ではCD4というリンパ球がかなり多い。このリンパ球の違いというのは、結局どう解釈するかというと、CD8リンパ球は自分を攻撃してくる、自分をやっつけてしまおうとするようなリンパ球であり、CD4リンパ球は自分を防御して表皮をどんどん増殖させてしまう。普通ですと、28日間ぐらいで底の部分の分裂細胞が表面に上昇して垢になって落ちるのですが、乾癬の場合は4日とか5日ぐらいでどんどん下からあがってきますから、鱗屑がたくさん付着してついてきて落屑性の変化がでてくるわけです。それは増殖性のリンパ球がかなり集まるからである。なぜ集まってくるかその辺のことはまたこれから調査が進むのですが、まったくそれがわかっていないのが現状です。したがって最近の治療で皆さんもご存知のように、こういうリンパ球を抑えてくれる免疫抑制剤が乾癬に使われるようになって、よく効いています。果たしてリンパ球が何のためにきているのかということがさらにわかってくればもう一歩少し進んだ治療になると思われますが、現状はそこまでの研究はできていません。」

(スライド)

  

「ここから少し友の会が作りましたパンフレット、本日受付で300円で売っていますけれど、それをまだ見ていらっしゃらない方もたくさんいると思ってその中から抜粋してお話しを進めさせていただきたいと思います。「みんなで治そう乾癬ハンドブック」、20ページぐらいの冊子ですが、非常によく説明ができていまして私があえて作るよりもここからという事でここからスライドを起こさせていただきました。」

(スライド)

 

「どんなところにできやすいのですか? というクエスチョンに対して答えをちゃんと出してくださっていますけれども、頭、ひじ、ひざ、お尻、それから太股の内側、すね、そして爪にも変化が起こってくる。これは非常に刺激の受けやすい場所、ケブネル現象といって何かの刺激を受けると物理的に刺激を受けた場所にだんだん乾癬の発疹が出てくるという現象を言うんですけれども、どうしてもひじのとんがったところ、ひざ、ここにはかなり最初から発疹が出てくる。

それから頭がでやすいのですが、頭だけの方もいます。ですから外来で普通のふけ症かと思って通われている患者さんがよく調べてみると、小さくひじに乾癬の発疹を見つけて、あっ、頭が乾癬だと診断にいたることがあります。見ただけではふけ症のちょっとひどいのかと思われる程度のこともあるのですが、そういうかたちで出やすい場所を我々はよく診察しますし、むしろ乾癬の治療中に過敏な方はそういうこすれる場所を見ていて発疹がああでてきた、早くちゃんと治療しようかとか、生活が少し乱れているなら少しリズムをちゃんととろうとかというかたちで自分の病状悪化のサインとして見ておいていただきたいと思います。」

(スライド)

 

「これが頭の髪のはえ際のところにできている図ですけれども、どうしても頭がひどくなる場合薬も塗りにくいですし、現在私たちはいろんな外用剤をローションとかクリームとかいうタイプのものも新しく開発、特にビタミンD3の外用剤が出てきてからその新しいローションみたいなものを出そうというかたちで、ドボネックスなどででてくるかもしれません。どうしても頭は、光線療法もやりにくいですし、治療をしにくい場所であるので、別の薬でも新しい剤型で出てくることが強く期待され、そのように働きかけています。」

(スライド)

 

「初発年齢の分布の図をお示ししますけれども、小さな頃からの初発もありますが大体やはり30歳台から40歳台のこの辺、私が40代後半ですけれども、私くらいの年になって発症されてびっくりされているという方も少なくないわけです。けっこうお年になってから出てくる場合もあります。そういう方には実はもっと若い頃から頭のふけ症だけはあったということがわかることがあって、実際に発症年齢がどこまで下がるかはもっと調査しないとわからないと思います。」

(スライド) 

 

「人種的には日本人は非常に頻度としては少なくて、やはり、アメリカに多いです。」

(スライド) 

 

「世界地図で見てみますと日本の頻度というのは非常に小さな丸ででていますけれども、ヨーロッパとかアメリカ、(黒人では非常に少ないですけれども)こういう形で大きな丸でパーセンテージがでています。したがって治療はむしろ欧米を中心にいろんな治療が早くから開発されていますし、そして先ほど友の会の方のお話しを受けたのですが、社会的な保証も治療に関してかなりちゃんとできていて、日本はまだ患者さんの数も少ないから友の会が結束してそういう形で治療に関する何らかの援助が、果たして出るかどうかわかりませんが、少しでも得られるような働きかけが重要なのではないかなと思います。」

(スライド)

 

「乾癬の患者さんの数はどれくらいでしょうか。大体日本では1000人に1人位という統計になっています。アメリカではどうかというと、1000人に20人から30人ということで頻度としては20〜30倍の頻度で多いということになります。日本でも少しづつ増えているのではないかといわれています。」

(スライド) 

 

「さてよく質問をされること、遺伝ですね。遺伝していくのかどうか。自分のお子さんに乾癬が出るのじゃないか。 

これは私はアトピーを専門にやっていまして、アトピーでも同じ質問を受けます。アトピーの場合はかなり子供さんにアトピーが出る可能性が高く、答えに困ることもあります。

乾癬では私は、かなりの患者さんの治療をしていますけれどもお子さんにとか、そういう形で家族で出てきている人はすごく少ないという印象があります。乾癬の遺伝についてかなり研究が進んできた今でも、日本では逆にそういう方が少ないのでその研究が進みにくいぐらい頻度が低いようです。」

(スライド)

 

「しかし、データとしては、【体質】として遺伝することがいわれています。でも【体質】して遺伝していても必ず乾癬を発症するわけではなくて、いわゆる後からの食生活とか、気候とかストレスなどの環境因子などが加わって初めてでてくることが重要といわれています。欧米のデータでは、親子ともに乾癬をもつ確率というのが非常に高く、20%から40%といわれているんですけれども、日本ではものすごく低くて約5%ぐらいと考えられています。」

(スライド)

 

「痒みについてですけれど、 大体6割くらいの方が痒みを感じていて、痒みがやはり発疹を悪くさせます。掻く事によって鱗屑を落としてしまおうと思われる方がいます。やはり痒いから掻くわけですけれども、掻く事によって発疹はどんどんひどくなって、ケブネル現象といって先ほど言ったようにひじからひざにでやすいように、刺激を受けるとそこに発疹が広がります。 

小さな点状の発疹であってもそこを掻いていくことによってだんだん拡大します。是非、刺激を与えないように。

外用療法で、ある程度痒みが止まればいいのですが、必要な場合はやはり内服療法を併用します。今使われている抗アレルギー剤、痒みを取る力の強いものがいろいろでていますが、1種類だけは乾癬に対しても適応が取れているものがありますし、それを適宜内服して痒みが強く、発疹が広がるような時にはコントロールしなければいけないと言われています。」

(スライド)

 

「内臓の病気と関係があるのか?

デルマドロームといって私たちは皮膚になにか発疹を見たときにそれから内臓病変の存在を推定する発疹があります。」

(スライド)

 

「乾癬に関してはまったくそれは関係はありません。むしろ内臓の病変がある程度進んだときに、乾癬がそれを契機に悪くなるということはよくあります。もともと乾癬がある方で、たとえば痛風(痛風を持っている方はけっこう多いようです)、尿酸の値が悪くなってくると乾癬の発疹もコントロールが悪くなってきたり、糖尿病がある方、それから高コレステロール血症のある方でもやはり現病が悪くなると乾癬もコントロールが悪くなるという傾向があります。

したがって、やはりどうしても乾癬の方というのは、体格のいい方が多いと思うのですけれども、ある程度の年齢になられるとそういう生活習慣病も合併される頻度が高いと思います。そういうものをやはりきちんとコントロールする必要がある。

 それと私どもの施設では、PUVAという光線療法をかなりやっています。1ヶ月位入院していただいてある程度真っ黒に日焼けして、そうすると乾癬の発疹は殆どなくなって、その状態がしばらく続くというメリットを得られるのですが、そういう患者さんである程度の年齢の方は、人間ドック的な検査でスクリーニングとして胃カメラぐらいやりますし、便潜血陽性などの症状があれば大腸内視鏡検査もしています。比較的最近、3例か4例大腸のポリープが少し悪性化したものや大腸癌が見つかった方がいました。ある程度の年齢の方で、やはり生活習慣病もある程度もってらっしゃる方は定期的な全身の検査が是非必要だと思いました。乾癬に多いか少ないか、これはまだ議論の余地がありますが、内臓の病気と関係がありませんと言いながらもちゃんと内臓の病気も診てもらって全身の状態をコントロールしなければならないと思います。」

(スライド)

 

「先ほどちょっと出ました「感染」と「乾癬」非常に似ています。◇感染する病気ですか?という質問もよく聞かれます。」

(スライド)

 

「私の患者さんでも頻回にPUVAの治療をまたやってください、あまりやると発癌の問題があるから、またしばらくしてからもっとひどくなってからやりましょうといって説得するのですが、どうしてもというのでいろいろ聞くと、その方は温泉、もしくは銭湯が大好きですが、乾癬の発疹がひどいと入浴を断られるそうです。乾癬は絶対感染しないのだからといって手紙を書いてあげようとするのですが、とにかく発疹をきれいにしないと温泉にいけないからということで、PUVAをまたやります。やはりそういう気持ちが患者さんのQOLをすごく落としていると実感しています。」

(スライド)

 

「ここから治療の話に入りたいと思います。一般的な治療指針というのは、病変が30%未満、30%〜50% 50%以上発疹がある人ということでだんだん重症になるのにしたがっていろんな治療が組み込まれる要素が出てくるという図なんですけれども、一般的には軽い場合ステロイドの外用剤かビタミンD3外用剤(新しいタイプのものがこれから出つつあります)、によってコントロールしましょう。

ある程度ひどくなっても外用療法を続けていくわけですけれども、重症で50%以上の発疹が身体に出てきたりする場合には、免疫抑制剤であるシクロスポリン、(ネオーラルという名前で出ていますが)、それからチガソンという名前で出ているエトレチナートやPUVAとかrePUBAという光線療法、そして古い薬ですけれど、私などはこのメソトレキセートはかなりよく使います。安い薬ですけれども、これがなかなか切れ味よく効く。こんなような内服薬を使って外用もするという治療があるのですけれども、それぞれ利点と欠点がございます。

シクロスポリンが丁度出始めたとき私はボストンのハーバード大学にいましたけれど、シクロスポリンが乾癬に効くという治療が出るきっかけになったのはシクロスポリンを飲んだ人が偶然乾癬を持っていて、乾癬の発疹に効いちゃったということでした。くわしく聞いてみると、ピッツバーグの大学で肝臓の移植をどんどんやっている時代で、移植した肝臓が拒絶されないようにするためにシクロスポリンを使う。そのシクロスポリン、もしくは今アトピーの治療で脚光を浴びているタクロリムスという薬もそうなんですが、そういう薬を使って肝臓の移植をしているのですが、乾癬があった患者さんが多かった。なぜかというとアメリカでは乾癬がひどい人が非常に多くてPUVA療法もどんどんやりますし、いろんな療法もやったんですが、メソトレキセートをかなりの患者さんが求めて使う。医者側も注意して使っているのですが、そのメソトレキセートという薬は、長く使って量がある程度きますと肝臓にものすごい障害を起こしてきて肝臓が殆どだめになってしまうとこまでいく。したがって肝移植をした患者さんの多くはメソトレキセートを飲んでいたために肝臓が悪くなっていた患者さん、すなわちひどい乾癬を持っている患者さんだったわけです。そういう患者さんが、シクロを使って今度は良くなったというなんかちょっと皮肉なスタートの仕方をしています。」

(スライド)

 

「乾癬治療における外用剤としてはステロイドの外用剤というのが基本で、それにワセリンとかサルチル酸とか尿素軟膏とかいわゆる角質をやわらかくする薬とか保湿作用のある薬を併用するわけでしょうけれども、最近ではビタミンD3の外用剤がどんどん増えてきています。今年新しいタイプがもう一つ出て来ますし、来年あたりにもうひとつ出てくる。かなり幅広いビタミンD3外用剤の品ぞろいが出てきている。それぞれいい薬ですが、多少の差がありますし、患者さんによって反応も違う。そういうものをうまく選択してステロイドを今までより少なく使って、それにもうひとつさっき言ったビタミンA酸の誘導体であるレチノイドという内服薬があるのですが、それの外用剤も出ようとしていますから、そういうものを使ってうまくコンビネーションしていけばさらにいい治療ができるようになると期待しています。」

(スライド)

 

「ステロイド外用剤は非常によい薬ですけれどもアトピー性皮膚炎では非常に拒絶者が多くて我々は非常に困っていて適正な使い方を進めるようにガイドラインができています。

むしろ乾癬の患者さんの方がたくさんステロイドを使っていますからステロイドの副作用的なものを出しやすいと思っていますが、それでもそれなりに使ってステロイドの副作用、たとえば皮膚の萎縮とか出血斑が出るとか、紫斑ですね、そういうものが出やすければステロイドを弱めたり、他のD3みたいなものに替えてあげて充分対処できるものと考えています。それ以外にステロイド外用を長く続けていると、乾癬の病態の変化が起こってくることは皆さんでも実感しているのではないかと思いますが、皮膚の厚ぼったさがなくなってきてなんとなく赤いペラペラした発疹になってしまうとか、なおっていたところに点状の紅斑(赤い点状のもの)が出てくる。小豆大の扁平紅色丘疹が出ていて、塗っててもなんか効いていない、そういうぷつぷつした発疹が出て、乾癬の発疹自体の形態が変化して乾癬が治らなくなってくる。

それから外用を中止するとリバウンドという言い方もしますけれど、非常に悪化して膿疱化という、膿を出す状況がでてくる。ステロイドを安易に使ったりやめたりすること自体にやはり危険性があることは否めないのですが、うまく使っていかなければいけないし、効きが悪くなっていく時の次の手がかつてはなかったのですが今はビタミンD3があります。」

(スライド)

 

「今日いらっしゃっている吉川先生の大学、阪大のグループが最初に報告したと思うのですが、もともと骨に関係するといわれているビタミンD3という物質が、それは歴史的に非常に古いのですが、白血病の細胞に作用して、分化誘導するという発見が20年前にありました。すなわち骨以外の細胞にも重要な作用をもっていることがはじめてわかりました。そこでいろいろ調べると表皮の細胞の増殖が乾癬の中心になっているのですけれどもそれを抑えたりする。ビタミンD3が表皮細胞の分化誘導する作用が1983年に報告されました。ということでまず乾癬に対する内服の治療が出てきたわけですけれども、あまり効かないことがわかり、外用で効く薬として、(残念ながら日本でいろいろ努力されたのですが)、デンマークで最初に外用薬がでました。その薬が今ドボネックスという名前で出ていますが、その前の帝人の薬もボンアルファとして、濃度が低いのですがいい薬として日本ででています。という歴史を経て今日ではステロイドの限界をビタミンD3がうまくカバーしてくれて外用療法が出来上がっています。」

(スライド) 

 

「たとえば私がフォローしている患者さんで、いろんなことをやってなかなかうまくいかない状態になっていた患者さんに、ビタミンD3の外用剤の新しいものが、丁度採用になったので、使い始めて4週間後に非常にきれいになってしまった。」

(スライド)

 

「劇的に効いた症例ですが、この患者さんもただただこれを使っていればずーっとこの状態かというと、しばらくしてまた悪くなりました。◇乾癬というのは波があって、皆さんもご存知のように何もしないのにスーとよくなるときもあるでしょうし、何をやってもどんどん悪くなる時もある。そういう波と治療とのどちらが本当の関わりかわからなくなる時があるのですが、確かにある程度コントロールをしてよくなった症例です。」

(スライド)

 

「ビタミン外用剤を使っているとき、時々こういう形でリング状に落屑がたくさん出てくるという、これもやはりビタミンD3の限界といえ、こういうときにはステロイドを使わなくてはなりません。」

(スライド)

 

「と言うことでビタミンD3の薬とステロイドの使い方としてはいろいろな使い方が考えられるのですが、アメリカなんかの先生たちが進めているのは、シークエンシャル療法といって、要するに段階を経ていくという、すなわち強力なステロイド外用剤とビタミンD3を使って、最初にステロイド剤を使って、それからよくなった状態でビタミンD3で抑える。そういう形の治療法が進められていますが、実際にいろんな患者さんでやってみますとそう簡単にはゆかない。寛解時にD3、そしてD3でなかなかうまくいかないということで如何にステロイドを噛ませていくか、そこは患者さんの違いもあるし、まだちゃんとしたガイドラインができないでいるところです。」

(スライド)

 

「これからの展開としてはより効果が優れたビタミンD3の外用剤が出てくるでしょうし、先ほどいったように治りにくい頭の中まで効かせるような剤形ももっと出なければいけないでしょうし、そしてレチノイドという内服で、これは催奇性があってなかなか使いにくいのですが、それの外用剤の開発がまたこれから出てくるでしょうし、そして移植免疫抑制剤の外用剤、これはタクロリムスというアトピーの治療薬として出ている薬のいろんな次のタイプのものが出てきたりします。これが乾癬の外用療法の中にどういう立場で入ってくるか、これから楽しみにしていて頂きたいと思います。」

(スライド)

 

「これは吉川先生の後姿なのですが、私どもの病院の治療の得意分野のひとつの光化学療法、PUVAという治療が中心ですけれども、丁度これはある学会で光化学療法に関しては大先輩の東海大学元教授の大城戸先生と阪大の吉川教授が光天井の下ですれ違う瞬間を撮ったもので、これは正に光り輝く療法だなと思って、タイトルスライドを作ってみました。」

(スライド)

 

「私このあいだ、「あるある大辞典」というテレビ番組に出たのですが、その時の実験をお見せします。この光り輝く療法は、ソラレンという物質を使います。ソラレンという物質はようするにUVAという普通ならばかなりあたっても反応しないはずの光線に対して強い反応を起こさせてしまう物質ですが、そのソラレンという物質はセリ科の植物から抽出するのですけれども、実はレモンの中にもあるとかいろいろ教科書に書いてある。

実際にレモンパックを顔にして光にあたったらPUVAと同じように陽に焼けて黒くなってしまうのかやってくれということで実験してみました。これはディレクターの腕なのですが、レモンを輪切りにした物を5分ほどのせた後PUVAのランプでごく軽く光をあててみたところ(10ジュール)、レモンの皮の所だけがまっかっかになった後、黒い色素沈着を起こしました。まあ要するにソラレンという物質はセリとかパセリにも入っていますし、セロリにも入っています。ただ食べてもそんな量ではありませんから反応しませんが、そういう実験をさせられた写真でした。」

(スライド)

 

「PUVAをあてていますとPUVA黒子という、小林先生もいろいろ論文を書いていますが、色素斑がでてきてどうしても光線による影響として皮膚の、ほくろならいいのですが、悪性腫瘍という皮膚癌が出てくることが心配になります。」

(スライド) 

 

「この患者さんはPUVAを沢山やった方で、しょっちゅうゴルフに行かれて陽にもあたりますし、メソトレキセートという薬を内科医であるお嬢様から処方していただいたりしたこともあったりで、いろんな薬の影響もありますが、日光のあたる場所にこの程度の、黒い発疹が出てきていました。よく見ると黒いぷつぷつが回りに並んで見えるBCCという皮膚癌の一種でした。 

BCCは基底細胞癌といってとってしまえばおしまいのものですから、早く見つけて取ってしまえば終わりです。ですから光線療法をやった上でやはりちゃんと皮膚科の医者が毎回チェックしてまだ大丈夫か、勿論光線を当てる回数とかそういうのも問題なのですが、どうしても他に日光暴露している場合もありますし、他の薬の影響もありますからスキンエクザミネーションをしっかりしてゆくというのも非常に重要だと思います。」

(スライド)

 

「白人に比べて癌を起こす頻度は非常に低いのですけれどもやはり、白人のデータではSCCという皮膚癌がかなり多く出ますとか、外陰部に光を当ててしまいますとかなり癌を起こしやすいとか、白人ではそういうデータがでています。ですから、総照射量では、皮膚にあたるジュール数が1000から1500ジュール、PUVAをやる概数としては大体、20クールぐらいでしょうか、人によってもぜんぜん違いますけれどもやはりある程度、上限を決めてやらなければいけないということが、白人のガイドラインからいわれております。

日本でも吉川先生や松尾先生、小林先生が中心になってPUVAのガイドラインを作ろうといったときに光線をどこまで当てていいかという議論がずいぶんあったのですけれども、結局日本人ではまだどこまでというのは決められませんでした。 

ただ、癌を怖がってこの治療をやめようというのは非常にまずいことで、非常に日光浴が効くと実感されている方がいますでしょうし、PUVAという治療は非常にいい治療なので、うまく専門医に判断してもらってこれからもどんどん使っていただきたいいい治療法のひとつだと思っています。」

(スライド)

 

「皆さんに安全に光を当てていただくために、まず、普通の日焼けサロン、そういうところに行ってしまうとどのくらい当ててどうだったかまったくわかりませんから、非常に楽でいいかもしれませんがやはり避けていただきたい。

こういう手帳を私どもは配っています。1ページ目に吉川先生の患者さんへの説明文書があります。PUVAの絵があって、ソラレンのとれるセリ科の植物の絵がある。それからいつどれくらいの光線を当てたかを書きます。ここには飲み会に行って飲み過ぎたとか、徹夜したとか、さらに重要なのは、ゴルフに行った、快晴とかそういう普通の日光暴露の記録なども書いていただいて、ある程度患者さんの紫外線暦というのを取らないといけないということで使おうとしています。」

(スライド)

 

「患者さんがたくさんいると手帳をみんな置いていってしまうのでどれがどれだかわからなくなって困ったので五色で作っていますが、本当は患者さん自身に携帯していただいて、どこの病院に行ってもそこに追記していただけれるような形でやれればいいと思います。」

(スライド)

 

「光線療法としては、PUVAという、あまり説明しないできたのですが、Pというのはソラレン(psoralen)というさっき言ったレモンにも入っていました物質の名前。UVAというのは、ウルトラ バイオレットのAということで可視光線に一番近い部分の紫外線と組み合わせた治療です。内服でもありますし、身体に塗ってやる方法もあります。もっと改良した形で、面倒なのですが、ソラレンを入れたお湯の中に身体を浸けて、それから光を当てるPUVAバス療法というのもあります。これですと光線の量が少なくてすみますし、その後太陽にあたる機会があってもすぐにへたってしまって大丈夫。それから、新しく、今日も学会で演題が出ていましたけれども、ナロウバンドのUVBというUVAに対してもっと波長の短い、危険波長になりますが、300プラスマイナス20nmという幅の中にあるUVBをさらにもっと狭めて311プラスマイナス1nmという非常に狭いところの範囲の紫外線を当てることによって発癌の(これは疑問ですが)、発生の可能性を少なくし、且つ有効治療ができるということで、これからいろいろな新しい光線治療が出てくると思います。これはソラレンを塗らなくていいので非常に簡単にできます。それ以外にもいくつかあります。」

(スライド)

 

「PUVAをやる療法も昔から紫外線の副作用を減らすために有効といわれ、すなわちUVAという紫外線を照射する量を非常に減らすことができて、しかもレチノイドという薬がある程度発癌を抑えてくれる作用を持つという期待も込めまして、rePUVAという名前でアメリカではずいぶん利用されています。」

(スライド)

 

「勿論rePUVAとしてチガソンと光線を組み合わせなくても、チガソンだけでもとてもよく効くお薬です。チガソン内服では必ず唇が荒れたりする乾燥性の病変が出て来ますし、非常に希なんですけれども、使っていくうちに骨に骨棘というのが出てきて腰が曲がりにくくなったり、首が曲がりにくくなったり、そういうような症状が出てくることもあります。それ以外には、催奇形性のことがあって、60歳位の乾癬の患者さんにはよいのですが、やはり若い人には使いにくいということがあります。」

(スライド)

 

「これもまたやはり友の会のパンフレットの後ろのほうから引っ張ってきましたけれども、気候療法とか温泉療法、私は小林先生がやってらっしゃる、そこにも油がおいてありますが、豊富温泉ツアーというのを前から行きたくて行きたくてしょうがなくて、東京の患者さんと何人かでツアーで行きたいなと思っているうちに今日こんなお話がきて、今日お話をさせていただくことになって、できればこれを機会に東京でも仲間に入れていただく努力をして僕も一緒に豊富温泉に行けたらと思っています。豊富温泉のことが下に温泉療法の中に書いてあります。それ以外にも今日どなたかが資料まで持ってきて下さったのですが、イスラエルの死海という、塩分のすごく強い湖のほとりにナショナルソライアシスセンターというのがあります。ナショナル ソライアシスセンターには非常にヨーロッパから患者さんが集まる。ただ手塚先生もおっしゃるようにまったくまだ作用機序に関してはわかっていないのが事実です。」

(スライド)

 

「ドイツではわかっていないながらにやはり患者さんが多いからでしょうか、ちゃんとした治療法として、バルネオフォトテラピーという治療がよく使われています。今日ここにくるはずの自治医大の中川教授が少し調べられて実際にそれを日本でも導入してやってます。

ただそれがあんまり商売になるようなことをやってもらったら困ると中川先生も私も思うのですが、乾癬の患者さんには確かに効くんだと中川先生はおっしゃっています。死海の水を使って入浴してもらってその後でUVBという光線をほんのちょっと当てるということでいいそうです。」

(スライド)

 

「UVBのみでは22%の改善、お風呂だけでは79%、両方やると87%だよというデーターがでているそうです。」

(スライド)

 

「内服では今チガソンの話が出て、それ以外にも先ほどから話しでてるようにメソトレキセート、シクロスポリンというような内服の治療選択がございます。非常にこの辺は難しくて、例えばシクロスポリンというのは、メトトレキセートもそうですけれども免疫を強力に抑えます。身体の中に小さくぷつぷつと生れてきている赤ちゃんの癌細胞がもしいたとしても人間の身体はそれをある程度消してくれます。いつも消してるから癌にならないのです。それが消す力を弱めてしまう。

すなわち、免疫抑制剤のようなものを使って消す力を持つ細胞をも抑えてしまうと生れてくる悪性の細胞はどんどん育ってしまう可能性がある。従ってある程度使いつづけると悪性腫瘍が発症する頻度が高くなるのではないかと言われていますし、PUVAというのは紫外線を当てますから紫外線によって発癌の問題がある。したがってこの組み合わせは最悪である。

これを同時に使うのが最悪なのですが、例えばPUVAをやって癌が起こりやすい状態にしてからシクロスポリンに切り替えるというやり方もまずい。したがってこれは乾癬の治療をかなり熟知した人でないと、こういうすぐれた治療法をコンビネーションで使っていくのはまずいのじゃないか。やはりシクロスポリンのガイドラインもでてきてますし、PUVAのガイドラインの中でもそういう形でどうしてもこの治療とこの治療はできるだけ遠ざけてやりましょうという形で述べられています。

そういう意味ではビタミンD3というのは比較的どんなものとも相性がいい。まあエトレチナートとの相性は少し悪いようですが、ステロイドとはいい。いろいろ組み合わせによって違いますけれども、非常にいろいろな治療が出てくると、その組み合わせが難しくなるといえます。」

(スライド)

 

「シクロスポリンを主体とする治療としてはさっきも言ったようにPUVA療法という私が得意とする治療法が使いにくくなります。

シクロスポリンをやった後しばらくステロイドで何とか引っ張ってどうしても悪くなった時にはPUVAもしくはrePUVA。そしてまた外用にしてシクロスポリンに戻る。あんまり長くシクロスポリンを使いつづけること自体というのはやはり腎障害を起こすとか、いろいろなことが心配されます。やはり薬の効き目が悪くなる。こういう形のローテーションテラピーがいろいろデザインされていますが、これも患者さんによってローテーションをどうしたらよいか難しい問題がありますし、まだちゃんとしたガイドラインができずにおります。」

(スライド)

 

「患者さんのハンドブックには日常生活で気をつけることに関しても非常に細かく7つの項目で書いてあります。300円ですので是非お買いになっていただければよいと思います。

日光浴がいいよという話、それからいろんな悪化因子について書いてあります。お酒もだめなんていっているのですが、かえってお酒を飲まないでいらいらするとストレスになります。豊富温泉に僕が行ったらきっと患者さんとお酒を飲んでしまうと患者さんの乾癬が悪くなるのではと心配なのですが、適度のお酒ならいいですよね。」

(スライド)

 

「ということで今回お世話になった北海道乾癬の会をはじめ、三重県、茨城県、大阪と、これだけ大規模に乾癬の会があることを今までよく知らないでいました。しかし東京でそういう形のものがあれば、私の病院もお手伝いできますし、東大の乾癬外来は後輩がやっていますし、そういう点では今後協力してゆけたらいいなと思っています。」

(スライド)

 

「今日はどうもご清聴ありがとうございました。」

本講演の録音、編集はOKABE氏

 幕張乾癬学習懇談会参加者アンケート

Q1最近の症状で気になることがありますか。

  • 非常にかゆい。
  • ちょっとした荷物を持ったりした後に腕にかけたりするとみみず腫れになり、なかなか戻らないし、あざになりやすくなってきました。
  • 太陽が当たる部分、例えば顔に発症する場合、やはり治りづらいでしょうか。
  • 毎日症状が変わることに困っています。
  • ドボネックス軟膏で、一年半ほど治療して大分よくなったのですが、半年ほど過ぎて、また元に戻ってしまいました。このままドボネックスだけでいいものか。病歴は十年ぐらいになってきました。指の関節が腫れてきました。
  • 発病十五年ほどになるが年々ひどくなっている。皮膚が薄くなっているのか、何かに当たるとすぐ出血し、なかなか止まらない。
  • ドボネックスの効果に限界がきたらしい(昨年に使用し始めた時には劇的な効果があったが…)。
  • 一年ほど前よりシクロポリン内服を始めて、劇的に改善しています。発症は四十年前で、結婚・妊娠後、症状は悪くなり、全身に湿疹が出ました。全身のかゆみと落屑に四十年間苦しみました。たとえ寿命が縮んでも、この内服薬に感謝しています。
  • 靴下で擦れる部位がひどくて困っている。
  • 頭皮だけなんですが、無意識に掻いてしまうことが問題。
  • かゆみ止めを飲んでいるが、強烈にかゆくなると薬が効かない。
  • リゾート地への旅行が症状の一時的な改善につながった。
  • 夏の日焼けで薄れるのですが、冬の時期、目立つようになります。冬の時期の事が気になります。
  • 悪化する箇所が変わる。
  • 少し残った患部のかゆみとかさぶたのはがし癖(やめられない)。
  • 病院に数年行っているのですが、症状がいい時と悪い時があるのですが、病院に通い続けた方がよいのですか。
  • 一箇所治ったら、新しく別の場所にできていたりする。結局、総面積はあまり変わらない。そういうものですか。
  • 大分悪くなりつつあります。
  • 六月に豊富温泉にて十日間湯治で現在良好。いつまでこの状態が続くか。
  • 病気になってから三、四年になりますが、なかなかよくならないので困っています。

     

Q2乾癬について知りたいことがありますか。

  • 食べてはいけない食べ物がありますか。
  • 原因についてもっと知りたいと思います。
  • かゆみを伴いますので、飲み薬を飲みますが、眠くなったりの副作用があります。副作用の心配はしなくてもいいのでしょうか。
  • 温泉は好きですが、乾癬に有効な成分、害のある成分を知りたい。
  • 遺伝の可能性の有無。実母、妹、私が乾癬にかかっています。私は二人姉妹です。現在三人の子供は発症していません。
  • 食生活との関連。保険のきく漢方薬でよいものはないか。
  • PUVAを頭皮に使えますか。
  • 紅皮症の治療について。
  • ストレスと乾癬の因果関係について
  • どうしたら完治するのかクエスチョンですね。一生付き合うようにしなければならないのですね。
  • 食生活のあり方(食べた方がよいもの悪いもの)
  • かゆみなどの症状が劇的に少なくなる方法。
  • 症状が少し悪くて、全身に赤く出てます。夜とかかゆくてたまらないのですが、どうしたらいいですか。
  • 先日解読されたというヒトゲノムの中に乾癬についての情報があったそうなので、それについて詳しく伺いたいです。
  • 薬がどれが効くのかわかりません。
  • 温泉にも色々な泉質がありますが、どんな温泉がよいのですか。
  • 色々と会報で教えて頂いているので特になし。

 

Q3学習会、講演会についての感想をお願いします。

  • 皆様ご苦労様です。
  • とても為になった。
  • 大変参考になりました。
  • 出席してとてもよかったと思います
  • 分かりやすい説明でよかった。
  • 非常に良かった。また参加したい。
  • 治療の現状がよく分かった。
  • 大変勉強になりました。
  • 今後も会には参加したいと思います
  • 勇気がわきました。
  • 先生方のお話は精神的に落ち着きます。
  • 今日始めて出席しました。自分が知っている点も多かったけれど、新たに勉強になりました。
  • 自分以外の乾癬患者を知らずにきま
  • したので、今日の人数を見て大変驚き、感動しました。
  • 自分の病気について再認識し、大変有意義に聞かせて頂きました。
  • 講演会にては、乾癬の理解を深めました。今まで医者の話が分かりませんでした。
  • 現在寝たきりの母を抱えているためなかなか通院できません。このような講演会、アドバイスの会が時々催されると、日曜日ならその日をなんとかしてあけて参加できるのでお願いします。
  • 大勢の人達と同じ病気の悩みを持っているという事で少しは本日参加して気が楽になったように思います。
  • 来て本当によかったです。素晴らしいお話をありがとうございました。一度なると墓場までということを聞き、今少しよくなっているからといって油断してはいけないということを教えて頂きました。
  • 先生の素晴らしい話を聞かせて頂いて勉強になりました。乾癬についてまだまだ知らない事があるのだと実感しました。
  • 薬の副作用や様々な治療との関係など今後の治療において大変参考になりました。こういう細かいところまでの説明本などあるといいですね。
  • 講演資料が有料でもあれば助かります。スライドの文字はほとんど読めません。
  • 多数の方に御出席頂き何よりうれしい。せっかくのこの機会に参加者が少なかったらと気にしていました。学習会を計画された方々、御協力くださった方々に御礼を申し上げます。
  • 大変よく丁寧にご説明して頂いてありがとうございました。

 

Q4その他、ご意見がありましたらお書きください。

  • 数多くの事例を知りたいと思います
  • 私は神奈川県在住ですが、もっと近くに講演会はありませんか。ちなみに座間市に住んでいます。
  • このような会が近くにできることを望みます。
  • こんな会が年に何回か近くでありましたら助かります。
  • 東京にも会がほしいです。
  • 東京でも乾癬の会を作って頂きたいです。
  • 東京に会ができたら何かお役に立ちたいです。主人と一緒に。
  • この機会に関東地方にも友の会が結成されたらと思います。
  • 東京を中心に関東の患者さん方との集まり、交流を今後増やそうと思い、インターネットを通じて昨年「関東Pの会」を発足させました。まだ、あくまでもオフ会の段階ですが、どうぞよろしくお願い致します。
  • 今後も学習懇談会を開いて下さるようお願いします。
  • これからも私自身勉強し、皮膚科の外来看護婦として精進していきたいと思います。患者様皆様のお手伝いができればいいかと思います。
  • 様々な地方からおいで下さった先生方お疲れ様でした。今後も我々患者のためにぜひよろしくお願いします。
  • 現在53歳で内服のシクロポリンでたとえ問題があってもかゆみから解放されて眠りたいとの思いで服用を始め、劇的によくなって、皮膚もむけず眠れるようになりました。妊娠中にステロイド軟膏を使っていて、原因不明ですが、赤ちゃんは出産後心臓の奇形のため死亡しました。それ以降子育てが終わるまでは弱い軟膏のみにしました(妊娠中はやめて)。頭部の乾癬がひどく、美容師は気持ち悪がるため、なかなか行けませんでした。現在心おきなく気を使わず美容院に行くことができ満足です。若い女性のために、今後専門の美容師がいれば惨めな思いをせずにすむと思います。
  • 各々の医師で方針が異なると思うので、各先生のネットワーク(開業医)を紹介して欲しい。

アンケート編集 KOBAYASHI編集員

 

 全国乾癬学習懇談会in幕張

質問用紙

講演の後、質疑応答の時間を準備しております。ご質問、ご意見がありましたら、お書きください。後ほど担当者が回収にまわります。

  • ステロイド剤の副作用で眼がやられると聞いたのですが。
  • 現在PUVAを受けていますが、1日1回1.6ジュール程度です。PUVAは1日に2回以上できるものなのでしょうか。PUVAで入院する場合、どのような一日を過ごすのですか。
  • 自宅におけるPUVA療法についての注意点についてお願い致します。
  • 病歴が長いのですが(25年ほど)、15年ほど前から、脇の下、二の腕、太もも、お腹周りに皮膚腺状がたくさんできてしまいました。どうしてでしょう。
  • ステロイドを患部につけているが、湿疹が大きくなり、赤紫になってきた。そのままつけ続けてよいでしょうか。薬=ドボネックス0、005%と混合(デルモベート0、05%、サルチル酸10%、ワセリン)
  • かゆみ止めにポロラミン・アレジオンを服用していますが、これ以外に何かあるでしょうか。
  • 自宅にサンルームのようなものを作ろうと思っております。直射日光を避けるためと思って。
  • 夏の海水浴で皮がむけていますが、気にしなくていいのでしょうか。
  • 一年中定期的に一週間ほどの海での日光浴を続けています(冬は海外)。皮膚ガンが心配なのですが、先ほどのスライドの状態以外、何か目安になる皮膚ガンの見つけ方はありますか。
  • ドラッグストアーに勤めている者ですが、乾癬によい塗り薬や飲み薬はありませんとか、食物の相談を受け困ることがあります。どのようなアドバイスが出来るでしょうか。(病院にはかかったことがあるので乾癬とわかっておられる)。
  • 死海の話をお聞きし、可視光線の治療は研究されているのかと思いました。いかがですか。黒田光線治療器は可視光線と思いました。以前買ったことがあります(私は使用しませんでしたが)
  • 頭のかゆみがひどく、ふけ状のものも多く落ちるので、人前に出るのが大変億劫になったりします。普段、頭のかゆみ・ふけを少なくするにはどのようにすればいいでしょか。
  • 紅皮症の治療について知りたい。
  • 発症して十数年になります。ホームドクターとして、医師にお願いしておりますが、町の皮膚科医は、今日お話のあったような進歩した情報を持っていらっしゃるのでしょうか。
  • ベオナール(EPAの内服薬)を3ヶ月ほど飲んでおりますが、多少色が薄くなったように思います。副作用はあるのでしょうか。コレステロール値は下がりました。
  • 私の場合、乾癬になってちょうどまる一年になります。4〜5kgやせて体調も思わしくないのですが、もっとやせていくのでしょうか。顔に生気がなくなりました。
  • 類乾癬と診断されていますが、乾癬と同じ認識でよいのでしょうか。
  • 死海での治療はどのくらいの期間、効果が持続しますか。
  • 十年以上乾癬と付き合っていますが、頭皮だけなのですが、体全体に広がることはありますか。
  • ステロイド剤を使わない治療法は現在のところありますか。また今後そういった治療法は考えられていますか。
  • 0〜1歳の時に乾癬になるというのは何か環境が関係しているのですか。
  • お話の中にもありましたが、遺伝のお話(ヒトゲノムのことなど)現在、どれくらいの所まで分かっているのか知りたいです。まだ曖昧であると思うのですが、それが解明された時、治療にどのように役に立つと考えられるのか、という部分など知りたいです。
  • 平成9年に頭がかゆくなり、脂漏性湿疹と皮膚科で言われその後、首が曲がらなくなり、足が腫れ、足の裏、膝、腰と痛みがありましたが、どこの病院へ行っても、分からない分からないと言われ、平成13年北総日医大の千駄木の日医大に入院を勧められました。やっと4年目にして病名が「関節性乾癬」と分かりました。今後の食事とか生活についてお話し下さい。
  • ボンアルファ軟膏、プロパデルム軟膏、ドボネックス軟膏の使い分けについて。及び副作用の違いについて。
  • PUVA療法の副作用(特に紫外線の害)と日光浴による紫外線の害の関係(違い)について。
  • ドボネックス外用薬を使っていると血中Caが増えると聞いていますが血中Caが増えるとどんな障害があるのでしょうか。
  • ドボネックスとワセリンを混ぜた薬が有効と聞きましたが、症状はどのくらい改善されますか。それと薬の長期の使用についての弊害は。
  • 頭用のビタミンD3外用剤ローション(ドボネックスのもの)はいつ頃出ますか。
  • ステロイド外用剤をやめられませんどのようにやめればよいでしょうか。
  • 乾癬は難病と言われているが、役所で難病の指定はできないのか。またその方向へのアクションは先生方が主導されるのか。また患者が国にアクションを行うのか、伺います。
  • 難病指定希望。
  • 頭の中のフケ対策・かゆみ防止策に温泉原油+ワセリンを混ぜたものを使っていますが、より効果的利用法がありましたら。
  • 陰部袋部の乾癬・かゆみの対策法がありましたら。
  • 日焼けサロンは回数に注意すれば効果がありますか。
  • 爪が変形・はがれ、困っております爪についてもう少しお話をして頂きたい。身体の方は豊富温泉の原油で80%よくなっており、現在も使用中です。
  • 風呂に入っての洗い方法、食事の内容(どういう物、どういう内容)、日光に当たるのはよいものか、顔が赤いが肝臓に関係あるのか。
  • 海水浴による病状改善は可能ですか また、治療薬の具体的なメカニズムが分かれば幸いです。
  • 食事について、よい物、特に悪い物は。
  • 初めは頭の額に一つから、現在全身ですが、今は良好な方です。現在、チガソン10ミリ、マイザー、ドボネックスを使用。ただ心配なのは年をとって寝たきりになった場合どうなるか。私の場合、調子を悪くすると悪くなるので。
  • チガソンを飲み続けてもよいのか。
  • 日光には当たった方がよいのですか
  • 環境として、家庭内=ホームダストペットなど、家庭外=大気汚染など、注意する点はありますか。
  • 今年の夏は特に気温・気候が異常に高く、そのせいか、蕁麻疹や湿疹が体にできた。以前までは全くと言ってよいほど出ていなかったのに、乾癬と関係あるのか。ハムスターを触った後も痒みが出ました。やっぱりアレルギーですか。以前まではそう
  • いう事はありませんでした。
  • 頭がかゆいので何かよいシャンプーがありますでしょうか。アロカドシャンプーはどうでしょうか。アロカド軟膏・クリームはいかがですか。ワセリンは毎日足と手につけた方がよいですか。
  • 豊富温泉の事を詳しく知りたいです
  • 平素、皮膚によいと言われる温泉には年間で10〜15回ぐらい宿泊しています。
  • 漢方薬(保険の効くもの)の組み合わせ治療はないのですか。
  • お尻に症状が現れてきました。生活面で気をつけることはありますか。
  • 免疫力を高めるという健康食品や食材という言葉を耳にしますが、摂取しない方が治療に対して近道なのでしょうか。
  • 日光浴がよいと言われていますが、手、足の治らない理由は。
  • 手足の爪の療法でよい方法はないでしょうか。教えてください。

質疑編集 KOBAYASHI編集員

■医療相談会
 
日時:平成13年9月2日(日)
参加者:164名
懇談会司会:YANADA(北海道)
OKADA(大阪)
質疑応答進行
小林皮膚科クリニック院長 小林 仁
日生病院皮膚科 部長 東山真里
相談医の先生方
東京逓信病院皮膚科 部長 江藤隆史
帝京大学市原病院 教授 松尾聿郎 日本乾癬学会理事長
近畿大学医学部皮膚科 教授  手塚 正
大阪大学医学部皮膚科 教授 吉川邦彦  

 

OKADA司会

「質問をたくさん頂いておりますが、この短い時間の中で全てお答えする事は出来ないと思いますので、残りについては北海道の会、及び大阪の会の会報やインターネットの情報などで折りにつけお答えさせて頂きたいと思いますので、ご了承いただきたいと思います。」

 

小林先生

「大変多くのご質問を頂いております。まず、江藤先生のご講演の順番に沿うような形で質問を挙げていきたいと思います。乾癬の原因について、何人かの方から質問を受けております。まずひとつ目、お話の中にもありましたように、遺伝のお話、ヒトゲノムのこと等、現在どのくらいのところまで分かっているのか知りたいです。又、あいまいではあると思うのですが、それが解明された時治療にどのように役立つのか、これはもう極めて根本的なご質問ですね。それともうひとつ原因に関しまして、若い頃に乾癬になるという事は、何か環境が関係しているのではないでしょうか?原因について、遺伝子のこと、環境のこと、ご質問がありますけれども、それについて、江藤先生もしくは吉川先生、まずそういったことを先生から遺伝子のこと今乾癬学会で取り上げていらっしゃいますので、ご説明いただけますでしょうか?お願いします。」

 

江藤先生

「大変難しいといいますか、簡単に皆さんに遺伝子の事を申し上げると難しいと思うんですが、遺伝すると言うのは日本では少ないんですけれども、西洋では遺伝すると言うことは先程のお話の中にもあったと思うのですが、DNAの中にその原因というものがあるということなんですよね。実はその異常が症状として現れるか現れないかという、その現れやすさというものが関係していますので、遺伝子の中にあるからと言って即病気になるというわけではないです。今その遺伝子の中の一番疑われる場所を色々と調べられておりますが、今の所明らかな原因、異常という所はまだ見つかっておりません。今日の学会でもあったんですけど、今まではその大分焦点を絞って研究されてきたんですけれども、その遺伝子は1つの場所だけを研究していてもダメなのではないかという考え方もあって、その遺伝子全体を眺めようという考え方も最近出てきたようで、そうすると又複雑になりますけれど、かなりのスピードで人間の全ての遺伝子は分かってきていますので、それと乾癬の患者さんの遺伝子を比べる事によってどこに異常があったというのはかなり分かるようにはなると思います。

実際の話として、乾癬の患者さんで例えば骨髄移植を受けた方が正常な人の骨髄をもらって病気が治ったという報告もあるんです。そしてその逆もあるんです。だけどそれは骨髄移植を受ければ他人の骨髄をもらいますので、それなりのまた副作用などありますので、治療法としていいかというとちょっと疑問です。こんな感じでよろしいでしょうか?」

 

小林先生

「だいたい今10個ぐらい遺伝子候補があがっているのですが、それが決め手になるかというところまではいっていないということです。それを応用した治療となるとまだそこまではわかりませんけれども、実際解明されると、よくオーダーメイド治療とか言われますが、それぞれの遺伝子にあった治療というものが将来的には考えられるかもしれない。少し夢が拡がると。」

 

江藤先生

「おそらく我々医者としてはオーダーメイド治療をやりたいと思っていますが、患者さんも受けたいと思っていると思いますが、それには非常にお金がかかるという面もあると思うんです。ですからまあ色々な制約はあるとは思います。」

 

小林先生

「そういった高いという問題、もうひとつ大切なのは原因としてやはり環境ということが、食べるものですとか、着ているものですとかあるいは入浴のことですとか、お酒のことですとか、色々な環境の事が関わりあっているかもしれません。環境についてというのは、これも大変難しい質問なのかもしれませんけれども、環境についてもお願いできますでしょうか?」

 

江藤先生

「先程、若い頃に発症された方で、という風に言われた時に、環境因子とか色々なものの増悪因子がものすごくはっきりと誰にでも同じようにこれはっていうものがあれば、すでに乾癬の治療のガイドラインにこれは絶対避けましょうとか、これはダメと言う形で言われると思うのですが、それが言われていないという事は、それぞれの方々で全然違うんだということになると思います。

私は同時にアトピーの方たちと色々な事を話す機会があったり勉強したりしているんですが、例えばドイツだと東ドイツと西ドイツ、全く同じ人が違う環境に生活している時に、どうしても西ドイツの人の方がアトピーが多い。東ドイツの人は同じ人なのに、全く生活環境が違うだけで、遺伝子的には同じだと、一体なんだろう?というような説があって、結局まだどこが、アトピーですら、例えば寄生虫をお腹の中に持っている人が東ドイツの人が多いからだなんていう説まであったりする。 

これもまだはっきりしていないという話もあって、乾癬ではそれがもっと色々な要素が確かに増悪因子があるんですけれども、それが特にじゃあ若い方でこれって決めうちを中々出来ないのが現状だと私は思っています。アトピーよりも難しいような気がしてならない。お酒を飲んではいけないのではないかというお話もでてましたけれど、適度な普通の生活をする事が一番であって、むしろ過剰に増悪因子を原因と思われるものを亡霊のように思い続ける事自体がかえってマイナスになることもあるので、本当にはっきりと僕らが分かったものはお知らせしますが、答えになってないですねこれじゃあね、それ以上のところはあまり深く考えるということはかえってあんまり良くないのではないかという気がしてならない。」

 

吉川先生

「環境という点で、乾癬の皮膚というのは、傷をつけるとそこが又乾癬になるので、部屋の湿度を乾かしすぎて乾燥させて痒みを起こして掻かなければならないというのは避けた方が良いと思われます。洗いすぎとかそういうのも関係してくると思います。それから食事ですが、日本人は白人と比べると淡白ですが、それでも終戦後ですね、戦争に負けて食べ物があまり無かった頃、乾癬は今のように多くなかった。その頃と比べると何か分かりませんが、とにかく関係を見つけようとするなら、食べ物はずいぶん変わってきていますね。ですから、俗にいう動物性脂肪は食べ過ぎると良くないと言いますが、それが本当にそうなのかどうかは分かりませんが、むしろポジティブに考えますといわしとか背の青い魚の脂は血行を良くするとか炎症を起こしにくくするとか、そういう効果があるみたいですがその辺りの食時はちょっと考えないといけないかもしれませんね。」

 

東山先生

「有難うございました。次に質問になるのですが先ほどの環境に関わることなのですが、日光にあたった方が良いのではないでしょうか?海水浴は乾癬にいいでしょうか?というご質問がございまして、また当たるのでしたら一日どの位当たったら良いのでしょうか?というご質問が来ています。江藤先生、コメントをいただけますでしょうか?」

 

江藤先生

「先程の私のお話の中で、私の病院では光線療法を非常に重点的にすることが多いのですが、当然夏などはわざわざ病院に入院しないでも日光浴で十分効きますよと。それで今むしろ世の中は紫外線の所謂発ガンの問題、紫外線を避けましょう、サンスクリーンを使って皮膚がんになるのを防ぎましょうというキャンペーンもされていますが、どちらかというと今もおっしゃったように、そこまでピリピリせずに光線は、特に乾癬には全員がそうじゃなくて、中には光線によって悪化するタイプの人もいますし、あまり効果のない人もいる。そういう人はやはりわざわざやることはないし、明らかに軽快するタイプの人は7〜8割はいらっしゃると思います。

特に顔に発疹が比較的ない方、もともと日に当たっている場所に発疹が出にくい方は、おそらく光が抑えているのだと思うので、積極的に日に当たっていただきたい。但し、要するに昔の学生時代みたいにカンカン照りの所にずっと寝そべって日に焼けてしまうような、要するに水疱をつくってしまうほどやくこと自体は先程言ったケブネル現象といって、炎症が強く長々と起こった場合、引っかいたのと同じように、そこに又新しい乾癬の発疹が広がってしまいますから適度なやきかたが必要です。

それでどのくらいっていつも質問されるんですが、何時間とかそれはもう太陽の光の強さや時間帯にもよりますが、ピリピリとお風呂に入った時、赤く痛くなるかならないか程度までがマックスだと思ってください。そしてゆっくりと、これはもうスキンタイプにもよります。非常に色の白い方は黒くならずに赤くなるだけですから、そういう方はゆっくり夕方や朝方とかの傾いた日でやっていただくだけでも乾癬はよくなると。やき過ぎはダメです。その方の程度に合わせて光線が効くと自分で体験された方はやられるべき治療だと思います。」

 

小林先生

「こういう形式で質疑応答をすすめていきますけれども、どうしても先生のご説明を聞いていただいてもわからないという方がいらっしゃいましたらその時はすぐに手を上げて簡単に質問してください。今しばらくこういう形式で皆様方にいただいたご質問に今日演者の先生方にお答えしていただきたいと思います。

では次に塗り薬の治療についてたくさんのご質問をいただいております。特にビタミンDの入ったお薬とは、今では2つ使えるようになって皆さんもたくさん使ってらっしゃると思います。それに関連したご質問がたくさんきております。ボンアルファ軟膏とドボネックス軟膏の使い分け、どういう風にしたら良いか?ボンアルファ軟膏とドボネックス軟膏で副作用の違いがあるかどうか?吉川先生、お願いします。」

 

吉川先生

「ドボネックス軟膏とボンアルファ軟膏ではビタミンDの有効成分が違います。使い分けるものの濃度が25倍違います。ボンアルファ軟膏を1とするとドボネックス軟膏は25倍の濃度があります。ですから、作用そのものとしては、ドボネックスの方が強いです。したがって副作用として一番問題になるのは、たくさん使って体に吸収されて血液の中のカルシウムが上がるかどうかということですが、これはよほど大量に強力に使わない限りまず心配することはない。  

通常の発疹に対して塗っておられる分にはどちらも心配することはない。局所的には、刺激反応と言って、顔あるいは皮膚の薄い所とかに塗っていると、赤くなってヒリヒリするとかいうのがありますが、それも私の印象では濃度の濃い方が、ちょっと強いようですが、濃度が1:25ほどの差があるかどうかというと、ボンアルファにもある程度赤くなってヒリヒリするという副作用があるのではないかと思います。だいたい作用と副作用はそんなところです。使い分けといたしましては、そうですね、私はあんまり特に意識して使い分けはしてないですが、もしもボンアルファでやってみて作用が十分でないなという時にはドボネックスですね、こちらの方が、より効果が期待されますのでそちらにかえていくという使い方をしています。それから発疹がひどそうで弱い治療では効きにくいなという時は、ドボネックスを使います。逆に顔などで刺激反応が出ることが予想されるような人にはボンアルファを使うというような使い道をしています。」

 

小林先生

「それに関連してこういったご質問もあるのですが、吉川先生、答えていただけますでしょうか?長期間塗りつづけることで、不安をいだかれると。長期間での弊害は、血液中のカルシウムが上がるとどういった症状が現れるのでしょうか?どういう悪いことがあるのでしょうか?という2つがあげられています。」

 

吉川先生

「カルシウムがあがってきますと、どういった症状があらわれるかということですが、これは非常に認知しにくいです。例えばこういう症状がでたらカルシウムが上がっているという決め手になるような症状が出ているときはかなり上がりすぎで、非常に危険な状態になっているんですね。問題はそれまでにキャッチして対応しなければいけない。どういう症状かというと、風邪ひきとか、何となくだるいとか、何となく食欲がないとか、そういう非特異的な症状ですね。もしも体調があまり良くないということがあったらかかりつけのお医者さんに行ってカルシウムを測っていただけませんかと言っていただくしか確認するしか方法はないということです。

それから長期間使ってどうなるかということですが、これはまだ我々としても、ビタミンDが乾癬に使われ出してから数年しかたっていないわけですからそれ以上の経験は誰も持っていないわけです。今の所は深刻な問題になるような副作用というのは、予測するようなデータは何もないと思うのですが。」

 

東山先生

「塗り薬についてですが、ステロイドと副作用についてのご質問がありまして、長いこと使っているとお腹とか二の腕の所に線状のものが皮膚が線状にたくさんなっているということなのですが、そういうものが関係あるのでしょうか?ステロイドの副作用で眼がやられると聞いたのですが、本当でしょうか?ということなのですが、松尾先生、いかがでしょうか?」

 

松尾先生

「私はそちらの東山先生にもお答えできるようなご質問だと思うのですが・・・。線状皮膚萎縮症というのは相当強いステロイドを大量に使った場合だと思うのですが、もう1つは使われる側の方にも影響があるように私は思うのですが、それはステロイドをお使いにならなくても、例えば妊娠してお腹が大きくなりますと、ピシッと皮膚が割れますよね。あれと同じ症状で肥満とかそういうことで起こる。必ず太っている人がなるかというとそうではなくて、痩せっぽちですごい乾癬症の人もいるわけで、ストレスがかかるとですね、やはりそういう事がありますので、お使いになってる患者さんの側のほうにも問題があるということです。しかしまあ使わなければ、そういうこともおきませんから、一概にはどのくらい使ったらなるということは言えませんが決まりはないと思います。ただ、ステロイドが、部位による吸収の差というのが必ずありますので、今正確な数字は覚えておりませんが、あるステロイドの種類を1種類決めまして、それを腕に塗った場合に吸収するのを1とした場合、頬やおでこでは14だとか、男性の陰嚢だと40倍だとか、同じステロイドを使っても部位によって吸収率が全然違いますので、例えば脇の下やソケイ部などそういう吸収のいい場所に、病気もできやすいし、吸収もしやすい。ということで、そんな心配をしながらお使いになるんじゃなくて、気をつけてみながら使ってもらったらいいと思います。

目のことですが、目のご心配というのがどういうことなのかちょっとわかりませんが、一番問題になっているのはアトピー性皮膚炎でステロイドを使うと白内障になるということをいわれることがあるのですが、それは専門家の、乾癬から少しはなれますが、アトピー性皮膚炎でステロイドが出来る前にですね、アトピーの方にどれくらい白内障の人があるかという統計があるんですね。そしてステロイドが開発されて、アトピー性皮膚炎の目の白内障の患者が減ったんです。上手にステロイドを顔に塗る事によって皮疹が改善されてそれで白内障が減ったのです。ところが、昨今のステロイドがいかんとTVなどで色々と言われまして、今まで皮膚科の医者が上手にステロイドを使っていたのを勝手におやめになる。そうすると又白内障がふえたんですね。統計を見ますと、ステロイドが開発される前の白内障の合併率とステロイドが開発されてからの白内障の合併率は同じ。ですから、ステロイドを使ったから、白内障になったという証拠はありません。乾癬がお顔にできたからといって、ま、あまり顔に出来ることはありませんけれども、ゴシゴシとこする機械的刺激の方が皮疹を悪くすることになりますし、白内障がおこりますので、皮膚科の医者は同じ事を言うと思いますが、皮膚科の専門医の所へ行ってステロイドを使っている分には心配はないと私は思います。」

 

江藤先生

「アトピー性皮膚炎で今もおっしゃられたように問題になっていることで、白内障は全然違うと。網膜はく離に関してもそういう形で悪さをしているということなのですが、ごく少数どうしてもステロイドを顔面にかなり長いこと外用している場合にもし注意しなければいけないとするなら、緑内障です。眼圧の上がりやすい家系の人などは、やはり眼圧を眼科できちんとチェックされて、そしてそこでステロイドを使わないということになればD3を使うという形にならないといけない。まあ、そういう症例は非常に少ないですけれども、アトピーでもそれだけは注意しないといけないということです。まれなんですけれども、まあそういう風に考えています。」

 

小林先生

「それでは、塗り薬の方から、光線治療、紫外線療法のご質問もたくさんきていますのでお答えいただきたいと思います。自宅におけるPUVA療法についての注意点をお願い致します。もう1つは、私は自宅にサンルームのようなものをつくろうと思っています。直射日光を避けながら、そういったものでも効くでしょうか?自宅で治療をするということでしょうが、江藤先生、お願いします。」

 

江藤先生

「自宅で・・・蛍光灯でしょうか?それともブラックライトでしょうか?」

 

小林先生

「ご質問のほうには、PUVA療法と書いていらっしゃいますが、自宅でブラックライトを使ってということではないでしょうか?」

 

江藤先生

「今日スライドでお見せしたように、光線療法というのはやはりしっかりとした管理の下で、しかも引越しされたりして他の施設に行った時に、カルテをそのまま持っていっていただく訳にいかないので、光線の記録というものを作りましょうと、我々がどの位の光線の量を当てたかをチェック出来る様にして、それを集積した時にどのくらい危険かというデータを、まあデータはこれから出るのですが、ある程度の線は今日の学会でもこのぐらいまででやはり危険ですとか、まあ人によってですけれども決めています。自宅でやられる場合は、要するにもうどんどんやってしまう。そういう方が私の施設にも、先程の首にBCC?のガンが出た患者さんは自分でもされている。そういう方は、やはり発ガンのチェックを私たちがチェックできませんし、本当は手軽に自宅でというのは、私も本当はやったほうが、クオリティオブライフがあがると思うのですが、やはり大事な治療ですから、慎重に進めなければならないということで、あまり勧めたくはありません。

それで特にですね、乾癬の患者さんではあれなんですが、ハクハンといって、色が白くぬける患者さんは場所が非常に限定していますし、自宅で小さな蛍光灯のランプを買ってガンガンやかれる方がいて、私がずっと一緒に仕事をしていた中川先生という方と一緒に乾癬の患者さんを見ていたのですが、中川先生がみていた白斑(シロナマズ)の患者さんでは手の甲の白斑部にがんの初期症状が多発した例が何例もありまして自宅でする危険性は思い知っています。自宅のPUVAは、日焼けサロンもそういう意味では訳のわからない光線をどのくらい当てられているのか分からないので危険だということです。

日光浴・サンルーム、これは先程の質問でもありましたが、海に行って海水浴もいいでしょうし、サンルームでされるのは僕はいいと思います。ただ、それもどのくらいの程度のマクロがあったか、快晴・時間などを記録しておいていただきますと、我々が後でこの場所にはこういう影響を受けているという事で、何かアドバイスが出来ることがありますので、出来れば日記みたいなものをつけていただきたいと思います。」

 

小林先生

「日光浴と紫外線治療に関係して、副作用の事を気にしていらっしゃるようですけれども、ふたつ、副作用についてのご質問です。定期的に1週間ほどの海での日光浴を続けています。冬は海外で、皮膚がんの心配なのですが、先程のスライドの状態以外で、何か皮膚がんの目安になる、皮膚がんの見つけ方はありますか?」

 

江藤先生

「皮膚がんで一番怖いのは「メラノーマ」というホクロのがんです。これは本当に危険で怖い。これがもしこの光線療法で出る可能性が高いならば、やはり僕は光線療法はやめないといけない方向になるのではないかと思うのですが、報告としては海外では、もちろん海外の白人の方は何もしなくてもメラノーマの出る確率が高い訳なので、そういう人に果たして何もしなかった場合とした場合でという統計的な差をどうやって出すかは難しいのですが、日本人の方ではないです。それ以外は先程もいいましたように、首にあったのは基底細胞がんといって、黒いからホクロのがんのようにみえるのですが、要するに発疹として黒いもの、もしくはイボみたいにボコボコ盛り上がったような、要するに目で見た時にどうも変な発疹があったらやはりぜひ乾癬で治療を受けています皮膚科の施設でホクロがあると言って見ていただくと、やはり自分で判断せずにやはり皮膚科の目で見てもらって判定していただきたい。普通のスベッとした皮膚でそこを取ったら実はがんだったというようなことは絶対にないです。目で見て何かの形で変化がある場合、それには色々なタイプがあると思いますが、そういう時は、注意していただきたい。」

 

東山先生

「有難うございました。次に全身療法、内服療法についてですが、チガソンについての質問ですけれども、チガソンをずっと飲みつづけてもいいのでしょうか?というご質問なのですが、江藤先生、お願いします。」

 

江藤先生

「ずっと飲みつづけるのは、僕はまずいんだと思っていますが。要するにどのくらいのトータルで飲んだかによってデータも違いますが、色々な副作用があって先程も図に致しました。それで、骨の変化というのもゆっくりゆっくりきまして、ある程度の量が来た時に、症状が無いところから急に、私の乾癬の師匠の中川先生は、シクロスポリンという薬が非常に高いので、毎月払っている内にお金がなくなって、首が回らなくなるんだけど、チガソンは安い。安いからといってずっと続けていると今度は骨の変形で首が回らなくなるというぐらい、どっかで首が回らなくなるという、まあそういう言い方をしていいのかどうかわからないですが、やはりトータルの量がある程度を越すと、ある程度そういう症状が出てくる。先程申しましたように、全ての治療に限界があります。やはり症状を治す治療ではなく、抑える治療ですので、これはずっと続けなければいけない。乾癬には非常に波がありますから、その波の起伏である程度の、完全に綺麗ではないが、この状態をいかにうまく保つか、それはもう治療というよりコントロールというんでしょうが、それを一つの薬だけで、ずっと続けるには限界があるということが、もうここずっと乾癬の学会で色々な人が言い始めてきている。したがって色々な薬をどうコンビネーション・ローテーションしていくか、というのが一番のこれからのポイントです。チガソンがとてもよくても、どこかで休薬して休ませてあげなければいけないし、次の治療に入っていかなければならないと思います。」

 

患者さん

(男性本人)「チガソンを8ヶ月位続けているのですが、1日5mgを2錠です。」

 

江藤先生

「人によって、どこまでというのも症状にもよると思うのですが、どうですか吉川先生、特に何ヶ月までダメとかいう決め方はできないですよね。」

 

小林先生

「たぶん今おっしゃったのはおそらく10mgカプセル(朝1粒夕方1粒というカプセル)のことだと思うのですが、1日2粒でしたら多い量ではありませんので8ヶ月での心配というのは血液検査をきちんとお受けになっていれば私は心配ないと思います。」

 

手塚先生

「それで今乾癬の発疹・皮疹はないのでしょうか?」

 

患者さん

「あります。」

 

手塚先生

「中途半端な量でだらだらと使用するのは、一番よくないと私は思うのですが。だから、チガソンを飲むなら飲むでもうちょっと量をふやして飲んで、皮疹をきれいにして、それから量を減らすと。効かないのに少量でずーっといくのは、これは一番良くないですね。」

 

患者さん

「わかりました。」

 

 

小林先生

「有難うございました。それでは時間も大分押し迫ってまいりましたので、あとふたつの質問に限らせていただきますが、治療全般にわたってのご質問です。発症して十数年になりますがホームドクターとして医師にお願いしておりますが、町の皮膚科医は今日お話のあったようなきちんとした情報を持っていらっしゃるのでしょうか?大変、きびしいですね。(笑)乾癬学会理事長の手塚先生、代表としてお答えいただけますか?」

 

手塚先生

「開業していらっしゃる先生も、これはビジネスでされているわけですから、真面目な先生であれば新しい治療法に非常に熱心であるのは当たり前のことなのですが、皆さん、よくどんなお店にいっても、商売熱心な人と、そうでない人がいると思うんですよ。お医者さんの中でもそういう人がおりますので、それは個人のレベルの話ですね。真面目な人は新しい治療法を吸収して、なるべく患者さんに負担をかけないで、早く治すということを目標にやっていると思います。」

 

小林先生

「ドクターと患者さんの信頼関係が一番であるということですね。例え町のお医者さんでも信頼関係がきちんとしていると十分だということですね。」

 

吉川先生

「皮膚科の先生でも、内科・皮膚科という先生と、皮膚科・内科という看板を出している先生がいらっしゃると思うんですね。それは私は大部分は皮膚科・内科という看板を出している先生は皮膚科の方が専門で、内科・皮膚科の看板を出していらっしゃるのは、どちらかというと内科の方が専門だと思っているのですが、どうでしょうかね〜?(笑)」

 

江藤先生

「皮膚科以外が書いてある所は、全部皮膚科じゃないような気がしているんですけれども、どうでしょうかね〜(笑)」

 

松尾先生

「私はですね、肌自身を見てお薬をくれる先生はいいと思います。ですから、はい、薬だけということをよく外来でやっている、私は忙しいから薬だけほしいという患者さんがいるんですが、そうは言ってもいいから入ってこいと、来ているのなら、代理なら別ですけれども、やはり皮膚科医というのは必ず皮疹を見て考えていますから、正確にここを見せるのが恥ずかしいからちょっとやめておこうとかですね、そういうことをされますと、我々もくるってしまうんですね。頭しかないと思ってたら実は他にあったということがあったり、皮疹を見てチガソンでも20mg処方してくれる先生なら、この程度ならこのぐらいでいいだろうと考えてくれているでしょうから、見てくれている先生にかかることがぼくは一番だと思います。」

 

東山先生

「有難うございました。最後の質問ですけれども、江藤先生のお話でも、欧米では乾癬という治療に色々な補助といいますか、機関の補助があるということなんですが、乾癬は難病と言われていますが、役所で難病指定には出来ないでしょうか?またそれに対して医師の方で働きかけはしているのでしょうか?というご質問です。手塚先生にお願いしたいと思います。」

 

手塚先生

「日本乾癬学会の方から難病の申請をしたかどうかというのは、ちょっと調べてみないと今はお答えできません。(膿疱性乾癬は難病指定されています。)乾癬は難病は間違いないので、そういう指定は我々医師だけがやるよりは、患者さんの力の方が、我々医師よりも行政に対しては強いですので、今日たくさんおいでいただきましたし、これからどんどん各地方で出来ますので、皆さんで力を合わせていただいて、我々も協力致しますので行政に難病指定に申請すれば希望はあると思います。」

 

東山先生

「同じ質問ですが、吉川先生はどのようにお考えでしょうか?」

 

吉川先生

「日本皮膚科学会としては、皮膚科の診療内容をもっと充実してくれるように、毎回保険の厚生省の方に色々と希望はだしているんです。尋常性乾癬の場合は難病指定になっておりません。膿疱性乾癬だけは難病指定になっているのですが、尋常性乾癬は数が多すぎてですね、難病指定にしてしまうと、とてもじゃないけど厚生省の予算が足りないというか、そういう次元からも考えられるし、難病指定の予算の範囲で世話を出来る程度の数、少ない疾患というのが対象になっているということですね。それからわが国の保険財政がどんどん厳しくなってきますから、これからは支払いの方はどんどん医療の内容を制限していく方向に向かっていると思います。ですから我々医師も医療に予算をとらせてくれるように言っておりますし、その努力はこれからも致しますけれども、市民の方々もその辺をよく考えて、医療にもっとちゃんとお金を使ってくれるように、乾癬患者の友の会など乾癬の治療の充実に向かって色々な要望を、我々医師ではなく、地方の行政等にむかって声を出していただくという事が、これから大切なんじゃないかなと思います。」

 

YANADA司会

「有難うございます。時間が、予定の時間をすでに5分ほど過ぎてしまいました。ただ、まだまだ質問したいことがたくさんあるだろうと思います。ですので、5分ほどだけ延長させていただきたいのですが、その中でこれだけは今日ぜひ聞きたいという事がありましたら、どなたかございませんか?」

 

患者さん(女性家族)

「今日は息子と来ました。有難うございます。息子は最初、医者にかかっておりましたが、途中から本人もやや諦めかけて治療を中止してしまったんですが、またこれから、今日お話を伺ってもう一度お医者さんにかかろうと思っています。

息子は大変痒みがありまして、顔や襟足、肘や膝とか無意識に掻いていまして、痒みだけは排除してやりたいと思うのですが。」

 

YANADA司会

「質問有難うございます。私も痒みが非常につよいのですが、痒みに関連して何かご質問がありますでしょうか?」

 

患者さん(男性本人)

「寝るときに、無意識に掻いてしまうのですが、これをいかに対処したら良いのでしょうか?」

 

江藤先生

「痒み、掻くことによって発疹がどんどん維持されるし、広がっていってしまいますよね、だから絶対に掻かないようにしなければいけない。痒みをとめる薬というのも、外用療法もきちんとすれば、やはり炎症を抑えると痒みは落ち着くはずだし、僕もかなり痒みの強い人には3種類ぐらいまで痒み止めの内服薬をおだしして、特にさきほどの方だと夜だと夜によく効くような薬を、普通だと朝1回飲むタイプのものを夜に飲んでいただくとか、という形で飲んでいただくと、基本的にゼロになることはないですが、落ち着いてくると思います。それと体温が上がったりすると、少し痒みが増す。まあ、これはアトピーと同じなのですが。掻く以外に冷やすですとか、例えばオデコにアイスノンのバンドをするとか、すると少し収まるとか、いろいろな対症療法を試されるといいと思います。やっぱりお薬は使った方がいいと思います。何もしないで自然に治る時期を待つ。確かに、乾癬には波がありますから、何もしていないのにスーッとひくことがありますでしょうし、風邪をひいて悪くする場合もある。何にも原因がないのに、発疹がひどくなってくる。おそらく色々な学校のストレスとかあるでしょうが、そういう時は、飲み薬を重点的に強く飲むようにする。飲み薬を普段は飲まなくても、落ち着いていれば。自分でメリハリをつけた治療に改善されてもいいよと僕は患者さんに言うのですが。2週間分の薬が4週間分ぐらい持つような、そういうことも指導しています。それ以外は何かあるでしょうか?YANADA会長はどうですか?」

 

YANADA司会

「私は痒い場合は、とにかく冷やす、入院中は水枕を2つ3つ看護婦さんから借りて、なだめながら眠ると。気がついたら掻いているわけですよね。それの繰り返しなのですが、色々な治療の中で、少しずつなだめて、私は周りにも言っているのですが、とにかく腕時計をしないようにして、こすれるものはしないと。あまりいい話じゃないですが、私はパンツはしません。ふんどしです。入院中は、主治医の小林先生も出来るだけケブネル現象が出来ないように、それから冷やすだけじゃなく、温めるということも、強く温める、やけどしない程度に温める、そういう治療をなさっている温泉医の先生方もおられます。これは先生方もそうなんですが、我々も経験を出し合って、そのためにはこういう会に入って交流をするのも非常に有効だと、モチロン先生方の治療もですが、このように思っています。

そろそろ時間が迫っていますので、この辺で質疑応答を終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか?来年は鹿児島の屋久島で学会が行われますが、大阪あるいは北海道に患者会があります。先程、金沢にもできると。それから東京でも、今日皆さん集まっている中でそういう会を作ろうと、アンケートにも東京に患者会をという声もありますので、江藤先生始め、応援するよと言って下さってますので、是非皆さん声を掛け合って患者会をと思っております。北海道、大阪からPRのようなことをしたいと思います。難病指定のこともありますし、先生方からも患者会がんばれといただいておりますので、簡単に1分ほどで、PRをお願いします。」

 
 
北海道の会を代表して:OKABE氏
「私達の日ごろの活動は学習懇談会ですとか、会報を発行して皆さんに情報を伝えるとか、豊富温泉湯治ツアーをするとか、あるいは相談活動、日常のですね、電話機が3台あるのですが、メールも含めて相談活動をして、患者さんのフォローをしています。役員会を開いたり、総会は年に1回です。編集委員会では会報「陽だまり」を編集・発行しています。会費は3000円、賛助会員は2000円です。北海道難病連に加盟し、他の難病患者さんとも痛みを分かち合うという活動もしております。

3つのお願いがあります。まず

  • 1つは、300円で乾癬ハンドブックを持ってきております。是非買って下さい。宜しくお願いします。
  • 2つ目は、10月の6・7・8日と豊富温泉ツアーをします。ぜひ参加しましょう。この中にも、豊富温泉に行ってよくなった方が来ています。手を上げてください。5人位こられていますが、豊富温泉で非常に良くなったという方もおられますが、合わない方がおられるのも事実です。また、5万円ぐらいでいけるような温泉ツアーも別に組んでおります。後ろに資料がありますので、皆さんのお手元に渡っているかもしれません。見ていただきたいと思います。最後の
  • 3つ目ですが、ぜひ皆様会に入っていただきたい。東京に出来る可能性もあると江藤先生の講演にもあり、関東Pの会の方々も参加しています。東京の方はぜひ作っていただきたいと思います。それまでの間、北海道かあるいは大阪の会に入っていただいて、交流していただきたいと思います。その中で私達の乾癬が少しでも良くなるように、お互いに励ましあっていただきたいと思います。
皆さん、お互いに体に気をつけながら、がんばりましょう。有難うございました。」

 

大阪の会を代表して:HASHIMOTO氏

「大阪乾癬患者友の会のHASHIMOTOです。大阪乾癬患者友の会の方では、年に3回機関紙を発行して、定例会として年に2回テーマを毎回決めて講師の先生に来ていただいて、講演会をお願いしています。その後、患者同士の交流を図るために懇親会を設けています。大阪と言う名前になってはいるのですが、会員の方は全国に散らばっておりますので、又、インターネットでも交流を図ったり、情報を交換出来る様にホームページを立ち上げています。ホームページから入会していただけるシステムにもなっています。アドレスや詳しい事は今日お配りした会報が、最新号をお配りしたと思うのですが、そちらに載っていますので、ぜひ参考にしていただけたらと思います。本日は有難うございました。」

 

YANADA会長

「ひとつ蛇足ですが、北海道乾癬の会に参加されて、昨年のツアーに参加された患者さんがいたのですが、おそるおそる会に入ったが、これは何か宗教団体ではないか、あるいは、旅行なんかを一緒にしたら帰りには何か買わされるんではないかと、いうふうな警戒をされている方もたくさんいらっしゃいます。私もたぶんそうだろうと思います。そういう現状の中で、この4つの会は、とにかく病気を治していこうという、励ましの会であると。そういう会をぜひ皆さんで作っていくと。入る入らないというより、皆でつくっていくという姿勢で取り組んでいただければとおもいます。疑問な点があればどんどんおっしゃって下さい。宜しくお願い致します。」

 

OKADA司会

「最後に、閉会の言葉ということで、関東付近に新しい会が出来ることを期待致しまして、地元のAOKIさんの方から閉会の言葉を述べていただきたいと思います。」

 

AOKI氏

「先生方の乾癬学会に寄り添うようにして学習懇談会が毎年開かれておりますけれども、今年はこのような形で千葉で開いていただくことが出来ました。千葉に在住している会員として、お礼の言葉を申し上げたいと思います。

学会でお疲れの所を、この会に参加していただきました先生方、大変有難うございました。江藤先生からは最新の治療などを、難しいかなというような所もありましたけれども、私達は乾癬は自分の病気ですから、非常に真剣に一言一句もらさないように、皆聞いていたと思います。たぶん、真剣さではどこの医学部の講義よりも負けないくらい一生懸命聞いていたと思います。有難うございました。

また手塚先生からは、慢性の病気なので、あせらずにと。松尾先生からは、バックグラウンドがあるからさまざまだと。吉川先生からは、将来きっと光り輝く療法があると、という力強いお三方の助言の中で、先生方我々個人の中で閉じこもって走ることのないように、先生と一緒に治していくのだという気持ちが大切だは言われたのだろうと思います。

それに少し関連してですが、我々個人個人がお医者さんと治療をしていく以外に、こういう乾癬の会が組織として先生方と一緒に活動を充実させていくことが大切なんだろうと思います。そういうことから言いますと、日ごろ、小林先生や東山先生の会への土台となり、柱となって支えて下さっているご尽力には改めて御礼申し上げたいと思います。

話は変わりまして、この会には、関東在住の会員として4〜5名、お手伝いさせていただきましたけれども、すっかり北海道と大阪の幹事の方にお世話になりました。おんぶに抱っこという形ですが、OKABEさんのお話にもありましたが、北海道や大阪の会に入ることだけでなくて、我々の方も自分達でということなのかなと思っております。

今日は遠い所から、我々の為に100人を超える患者の方が、200人近いのだそうですが、北海道と大阪の乾癬の会にお世話いただいたということで、皆さんを代表して改めて御礼申し上げます。また、色々と会場の世話など、本当にこまごまとお世話していただいた中居さん、すっかりお世話になりました。本当に有難うございます。お礼の言葉はこれで終わりです。

昨日、この会の段取りをどうしようかということを、小林先生、東山先生を交えて打ち合わせをしたのですが、小林先生から最後の挨拶は地元の人がしてはどうか?という助言を受けまして、私が挨拶をさせていただくことになりました。たぶん小林先生の言葉の中には、そろそろ東京で作らないとだめだよということが、意図されているだろうと思いました。

昨日、インターネットで情報をやりとりしている関東の方達の30名ぐらいの集まりがあったのです。OKABEさんも参加されたのですが、インターネットで様々な情報が受け取れますので、私達患者も情報を仕入れるといいますか、支えにすることが多いのですけれども、今の世の中ですから、インターネットがあるから良いじゃないかという声もあるかもしれませんが、やはり温泉につかりながら一緒に語り合うということも大事なのではないかなと思います。

私自身の事で恐縮なのですが、4・5年前、全身に出てかなりひどかったのですけれども、今は割と落ち着いておりまして切実な状況でなくて、なかなか情報収集も熱心ではないというような状況でお世話させていただいてよいのかどうかと思っています。

でも今日200人ということでお見えになっていますが、東京ではたぶんこの会の存在も知らずに、ひとりで苦しんでいる方も、もっともっと多いんだろうなと思います。

乾癬の患者の方は明るくて活動的で積極的だと聞いておりますので、協力出来るよと手を上げていただける方は、大阪の幹事会のほうに申し出ていただいてですね、是非我々の東京地区での会の発足に結びつけていきたいなと思っております。

どこまで実際の宣言をしろと小林先生が言われたのかはわかりませんが、ゆるやかな形でお世話したいなと考えています。きっかけ作りぐらいはというつもりの方は何人かおりますので、ぜひ他にも協力できる方々には手を上げていただけたらと思います。」

 

OKADA司会

「大勢の方々、長時間どうも有難うございました。そういたしましたら、今日の会はこれでおしまいとさせていただきたいと思います。今日は遠路はるばるの方々も地元の方も有難うございました。先生方、有難うございました。」

録音編集 HASHIMOTO編集員

 

 「ステロイド含まず」成分偽り皮膚薬販売

日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療問題委員会(委員長━竹原和彦金沢大教授)は同皮膚炎の患者向けに「非ステロイド」を標榜しながら最強レベルのステロイドを含む中国製クリームが販売されているとして、注意を呼びかけている。情報提供を受けた厚生労働省も実体解明に乗り出した。

問題となっているのは、中国製外用クリーム【皮炎霜「ひえんそう」】など。

製薬会社などの分析で、ステロイド剤のプロピオン酸クロベタゾールを含むことが分かった。

インターネットで「ステロイドを含まない」と広告、販売した福岡市内の業者が今月7日福岡県から薬事法違反で、自主回収の指導を受けた。

プロピオン酸を長期使うと、皮膚萎縮やホルモン異常などの副作用がある。

同委員会はファックス(076・234・4274)、電子メール

(stopic@-mrd.ksnazawa-u.ac.jp)で相談を受付ける。

 

平成13年9月16日掲載
朝日新聞記事より

 

 お知らせ

第6回定例総会開催
日 2001年11月10日(土)
受付 11時30分より受付け
開会 正午より
12時〜12時50分まで定例総会 
定例総会の内容
@ 事務局より事業報告
A 会計係より収支報告
B 新役員紹介と承認について
C 幹事会の現状と幹事の募集
1時〜1時40分まで講演会
講演:「乾癬:免疫学的アプローチ」
講師:羽曳野病院皮膚科 小阪博先生  
1時40分〜2時まで 質疑応答
2時〜2時30分まで
     会員による「乾癬体験談」
2時30分〜4時迄  懇親会
4時〜5時迄     自由懇談会 
 
場所 大阪大学医学部同窓会館 銀杏会館
  
   
 
懇親会
於:銀杏会館内3階大会議室     
料理・レストランミネルバ
費用  2500円
*出来るだけお釣りなきようお願いします。(懇親会会計)
交通アクセス 阪急バス 近鉄バス
◎阪大医学部前バス停より徒歩3分
◎大阪モノレール阪大病院前駅下車

 

 入会申込みのご案内

入会申込み先
大阪市西区立売堀6丁目3の8 日生病院 患者様サービス部
掾i06)6543・3581 内線159
事務局 担当・小田救世代
郵便振替口座番号は 0920・2・155745
「大阪乾癬患者友の会」宛です
お近くの郵便局で申し込めば送ることができます。
年会費 3000円

 

 オキサロール軟膏新発売のお知らせ

マルホ株式会社
この度、尋常性乾癬など角化症治療剤【オキサロール軟膏を】左記の通り発売致しますので、ご案内申し上げます。
 
発売日 平成13年10月11日
包装  10g
薬価基準価格 1g::163.1円
 
特徴
@ 活性型ビタミンD3誘導体マキサカルシトールを有効成分とする新しい角化治療剤です。
A 尋常性乾癬の紅斑、湿潤、肥厚
鱗屑に優れた改善が得られます。
B 乾癬重症度の指標であるPASIスコアは早期より改善が認められました。
C 魚鱗癬群、掌蹠角化症に対しても優れた改善が得られます。
D 局所副作用は565例中49例中(8.7%)、77件に認められ、主なものは掻痒23件(4.1%),刺激感18件(3.2%)、発赤17件(3.0%)等でした。
全身副作用は564例中37例(6.6%)47件に認められ、主なものは血清カルシウム上昇14件(2.5%)、γGTP上昇7件(1.2%)でした。(承認時)
 
尋常性乾癬改善率(N=380)
 著明改善以上  61.8%
 中等改善率   25.0%
 軽度改善率    6.6%
 不変       2.6%
 悪化       3.9%
 
   使用上の注意
 
【承認用法・用量】
通常1日2回適量を患部に塗擦する。なお、症状により適宜回数を減じる。
 
@使用量はマキサカルシトールとして250μg(本剤として10g)までとする。
A本剤の使用に際しては、3ヶ月を目安として、血清カルシウム値の検査を定期的(開始2〜4週後に1回、その後は適宜)に行なうことがのぞましい。但し、3ヶ月を過ぎても患部が広範囲であるなど、 本剤の1日使用量の減量が困難な  
場合には、その後も継続して検査を行なうことがのぞましい。
B本剤は通常投与後6週目までに効果がみとめられているので、治療にあたっては経過を十分に観察し、症状の改善がみられない場合には、漫然と使用を継続しないこと。

 

 学習講演会の小阪博先生の横顔

小阪先生は東北大学医学部卒業、大阪大学医学部大学院終了、元大阪大学皮膚科学教室講師、昭和60年大阪大学医学部腫瘍発生学教室・平成元年アメリカサンデイゴScrippsClinic研究所研究員・平成4年理化学研究所ライフサイエンス筑波センター基礎科学特別研究員・平成7年オーストラリアブリスベンWalter&EizaHall研究所研究員・平成8年大阪大学皮膚科学教室。

専門は免疫学、皮膚科学で白血球T細胞のレパートアの形成、自己寛容の誘導機構、皮膚疾患の免疫、アロに対する反応性など研究され、免疫学会、皮膚科学学会、皮膚アレルギー学会などで活躍されています。

現、羽曳野病院皮膚科医師 医学博士

 

 編集後記

    

◇去る10月6〜8日に実施された北海道の【乾癬の会】主催の豊富温泉ツアーには大阪の会員3名が参加され参加総数も40名を越えたそうです。【乾癬の会】の皆さまお世話になりました。

 

           編集員